特別インタビュー(1)

特別インタビュー(1) デリバティブの発祥はリスクヘッジ。
デリバティブなら相場の波を捉えて積極的に利益を追求できる。

出典:「はじめてのデリバティブ」(株式会社大阪取引所、株式会社産経新聞出版)
※本ページ下部に記載の注意事項についてもご確認ください。

デリバティブは、そもそも現物の価格変動に対してヘッジをするために誕生した経緯がある。使い方さえ間違えなければ、これほど投資のツールとして強力なものはないと、慶應義塾大学大学院教授の岸博幸氏は指摘する。

デリバティブ市場を観察し、機関投資家の動きを察知

日本には大勢の個人投資家がいるのにもかかわらず、「株のことは知っているが、デリバティブのことはよく知らない」といった投資家が大半ではなかろうか。多少の知識があったとしても、デリバティブ投資に踏み込む投資家となると、もっと少数になるだろう。

しかし、デリバティブについてわからないまま、株式投資を行なうことは実に心もとない。なぜなら、現在の株式市場をリードするのは機関投資家で、彼らはデリバティブをフルに活用したトレードを行なっているからだ。

つまり、マーケットの動きを的確に読んでリターンを得ようとするためには、彼らの行動パターンを把握しなければ難しい。そうした意味で、自分自身が売買するかどうかは別にして、最低でも先物やオプションなどデリバティブ市場の動きを観察し、株価の動きを左右する機関投資家の方向を探る必要があるのだ。それによって、大きな流れをつかみ、それに乗ることができれば、イコール利益を得るチャンスをつかんだことになる。

シンプルな上昇相場であれば、そうしたことを考える必要はない。たとえば、過去3年間のアベノミクス相場は、上昇トレンドを鮮明にしていたことから、流れに乗るのはとても簡単でラクだった。ところが昨今では、そのアベノミクス相場が変調をきたしたために「何も考えずに乗れば儲かる」といった相場ではなくなったのである。

そうなると、前述したように、機関投資家の動きを探ることの重要性が増す。機関投資家の投資スタンスを大きく分けると、業績などファンダメンタルズに基づいて投資する投資家と、需給や政策の“ゆがみ”を突いて仕掛ける投資家、となる。前者は年金資金、後者はヘッジファンドが、それぞれ代表的な例だ。

2015年の後半から株式市場は乱高下する場面が増えたが、それは“ゆがみ”を突く機関投資家が積極的に仕掛けたことも大きな要因だ。もちろん、仕掛けを完全に察知するのは難しい。しかし、ある程度の法則性をしっかり把握できれば、何も知らないで売買するより好成績を収めることが可能になる。

アベノミクス相場のようにシンプルな上昇相場でなくなった今、株式投資で利益を得ようとするには下げの局面における対処法も考えなければならない。その際、デリバティブを活用すれば、上下いずれの相場にも対応できるため、株価が下落した場合でも儲けるチャンスになる。

現実の個人の行動を見ると、FX投資を行なっている投資家が多いではないか。デリバティブ投資を個人が活用する素地は十分。しかも、FXは相手国の経済環境の変化など、不確定要素が多いのに対し、株式のデリバティブは日本の動きだけを見ればいいという意味で、本来はFXよりも取り組みやすいといえる。こうした点からも、株式投資家もデリバティブを活用すべきではないか。

モノの値段は上がるが、給料は簡単には上がらない

現在の相場に絡めて話を進めてみよう。シンプルな上昇相場ではなくなったので、リスクを取らない投資家が少なくないかもしれない。昔のように現物株市場しか存在せず、下げ相場の対処法として信用取引のカラ売りしかない時代なら、やむを得ない。しかし、今は多くの国民にとって金融商品に投資をすることが大切な時代なのである。

それは単に、マイナス金利導入などによる金融緩和が継続し、確定利付き商品にうまみがなくなり運用難に陥っているという点からだけではない。将来を見越しても、資産を着実に増やさなければならないことを真剣に考える必要があるのだ。

日本の財政難は今に始まったわけではないが、本格的に再建を図ろうとするのは困難であることは誰にでもわかる。団塊の世代すべてが後期高齢者となる2025年以降、今の状態が続けば、財政が行き詰まることは想像に難くない。財政が立ち行かなくなった場合、政府がとるべき道は2つ─支出のカット、あるいは負担増大のいずれかだ。具体的には、高齢化の進展で膨らむ社会保障費を削るか、消費税の大幅アップなど増税を選ばねばならないときが来る。

いずれの施策でも国民は嫌がるが、“ない袖を振る”ことはできない。どの道を選択するとしても、そう遠くない未来に負担が大きくなることを覚悟しなければならなくなる。悲観的に見れば、国民皆保険・皆年金の維持ができなくなる可能性が高く、“自分の身は自分で守る”、つまり、公的な保障があてにならない以上、豊かな生活を維持するために稼がなければならないのである。そんな時代に差しかかったことを忘れないでおきたい。

年金生活者だけではなく、現役世代についても同じことがいえる。おそらく、近い将来、年金の受給開始年齢は70歳に引き上げられるだろう。現在は、65歳まで働いた後、年金を受給して老後を過ごす──そんなスタイルが一般的だが、今後は70歳まで働くことを考えなければならず、同時に老後の資金を少しでも増やす必要がある。

働くにしても、簡単には給料が上がらないご時世だ。アベノミクスでは、金融緩和で一定の効果はあったものの、肝心の成長戦略が進んでいない。先行き完全にデフレから脱却するとしても、“モノの値段は上がるが給料は上がらない”というように、自らをスキルアップしても追いつかないことが考えられる。給料で足りない分について、ある程度の金融資産があるなら「自分のお金に稼いでもらう」といった発想が大切だ。
そんな状況であるがゆえに、下げ相場だからといって投資をしないわけにはいかないのである。そこで、デリバティブを活用して、少しでも資金を増やすように工夫したい。


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注意事項

  • 本冊子は、株式会社産経新聞出版より発刊された「デリバティブをはじめる前に読む本」より一部を抜粋し、2016 年2 月の取材に基づき再編集して作成されたものです。本冊子を無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。本冊子は、先物・オプション取引の基礎的な内容の説明を目的として作成したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。株式会社大阪取引所および株式会社産経新聞出版は、本冊子の記載内容については万全を期しておりますが、投資家の皆様が本冊子の記載内容に基づいて行われるお取引その他の行為及びその結果について、何ら責任を負うものではありません。お取引に際しては、金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等をお読みいただき、商品の性格や仕組みを十分にご理解いただいたうえで、ご自身の責任と判断のもとで行っていただきますようお願い申し上げます。
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