中東の地政学リスクが高まる~相場調整は一過性が経験則~

04/16(火)16:50

岡三証券 投資戦略部
日本株式戦略グループ 内山大輔
POINT
  • 地政学リスクが高まる可能性があるが一過性が基本的な経験則
  • 短期的にはディフェンシブや原油高メリット株などに注目
  • 個別ではINPEX(1605)、中部電力(9502)などに注目

地政学リスクは一過性が経験則

過去の主な地政学リスクと日本株相場の推移を図表1で示した。先行き不透明感の高まりなどを受けて、地政学リスク発生前から日本株式市場では調整が始まっていることがわかる。ただし、過去6回の調整局面は平均5%程度、10営業日ほどで相場は底入れし、その後は調整前の水準を回復している。地政学リスクは短期的には投資家のリスク回避姿勢を強める作用があるが、基本的には一過性であることが多いと理解できる。相場の振れ幅や底入れまでの日数はイベントによって異なるため、動向を注視する必要はあるが、今回も調整は一時的なものに留まると考える。下値目途は節目の38,000円程度と予想している。

図表1.地政学リスクは一過性が経験則
1990年以降の主な地政学リスクと発生前後の日本株の推移

出所:QUICK作成:岡三証券
  • 発生日が日本休場の場合、翌営業日を起点とした

短期的にはディフェンシブ株や内需株、原油高メリット株に注目

地政学リスクが発生した月の前月末~発生月末までのTOPIX-17シリーズ別の1ヵ月相対リターンの平均を見たものが図表2だ。医薬品、電力・ガス、食品などのディフェンシブ業種や、小売や情報通信などの内需関連、エネルギー資源などの原油高メリット株が選好されやすいことがみてとれる。一方で、自動車・輸送機や電機・精密などの景気敏感業種はパフォーマンスが低調になりやすい傾向がある(電力・ガスはエネルギーコスト上昇よりも業態の安定感が評価されている可能性、小売や情報通信は円高メリットなどが考慮されている可能性がある)。短期的にはディフェンシブ株や内需株、原油高メリット株が逃避先になりそうだ。プライム上場で時価総額が5,000億円以上、予想配当利回りが2.5%以上の主な関連銘柄を図表4に示した。

他方、地政学リスクが発生した月の月末からの3ヵ月相対リターン(図表3)を見ると、上述した物色の反動(リバーサル)が起きていることがわかる。中期的な観点では、景気敏感業種に属する優良株を中心に押し目買いの機会になると考えられる。

図表2.地政学リスク発生前後では内需やディフェンシブ、原油高メリット株などが選好
TOPIX-17シリーズ 地政学リスク発生月の月末までの1ヵ月平均相対リターン

出所:QUICK作成:岡三証券
  • 地政学リスクは図表1のうち、TOPIX-17シリーズの株価指数データ(1993年7月~)が取得可能な米同時多発テロ以降の5つ
  • 地政学リスク発生月の前月末値~発生月の月末値で計算、同じ期間のTOPIX騰落率から減算した(相対リターン)
図表3.地政学リスク発生月から3ヵ月ではリバーサルが起きやすい
TOPIX-17シリーズ 地政学リスク発生月の月末から3ヵ月 平均相対リターン

出所:QUICK作成:岡三証券
  • 地政学リスクは図表1のうち、TOPIX-17シリーズの株価指数データ(1993年7月~)が取得可能な米同時多発テロ以降の5つ
  • 地政学リスク発生の月末値~3ヶ月後の月末値で計算、同じ期間のTOPIX騰落率から減算した(相対リターン)
図表4.短期戦略で注目したい主なディフェンシブ株、内需株、原油高メリット株
プライム上場で時価総額が5,000億円以上、予想配当利回りが2.5%以上の銘柄
右にスクロールします→
コード 銘柄 業種 時価総額
(億円)
予想配当
利回り(%)
実績
ROE(%)
1605 INPEX エネルギー資源 32,580 2.9 8.0
2269 明治ホールディングス 食品 9,890 2.8 10.0
2503 キリンホールディングス 食品 20,282 3.2 10.7
2914 日本たばこ産業 食品 83,600 4.6 13.1
3092 ZOZO 小売 10,318 2.9 60.1
3635 コーエーテクモホールディングス 情報通信・サービスその他 5,162 3.3 22.1
4502 武田薬品工業 医薬品 64,800 4.6 5.3
4523 エーザイ 医薬品 17,830 2.7 7.2
4528 小野薬品工業 医薬品 11,712 3.4 16.1
4732 ユー・エス・エス 情報通信・サービスその他 6,209 3.0 16.2
5019 出光興産 エネルギー資源 15,173 2.9 16.8
5020 ENEOSホールディングス エネルギー資源 23,489 2.8 5.0
6178 日本郵政 情報通信・サービスその他 47,789 3.4 3.9
8252 丸井グループ 小売 5,015 4.2 8.5
9432 日本電信電話 情報通信・サービスその他 158,101 2.9 14.4
9433 KDDI 情報通信・サービスその他 98,579 3.3 13.4
9434 ソフトバンク 情報通信・サービスその他 89,056 4.6 25.4
9502 中部電力 電力・ガス 15,751 2.6 1.9
9989 サンドラッグ 小売 5,316 2.6 11.3
出所:QUICK作成:岡三証券 2024年4月15日現在
  • スクリーニング条件は以下
  • ①東証プライム上場、②時価総額が5,000億円以上、③17業種分類がエネルギー資源、食品、医薬品、電力・ガス、小売、情報通信・サービスその他のいずれか、④予想配当利回りが2.5%以上
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<投資信託>
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    お申込時に直接ご負担いただく費用:お申込手数料(お申込金額に対して最大3.85%(税込み))保有期間中に間接的にご負担いただく費用:信託報酬(信託財産の純資産総額に対して最大年率2.254%(税込み))
    換金時に直接ご負担いただく費用:信託財産留保金(換金時に適用される基準価額に対して最大0.5%)その他の費用:監査報酬、有価証券等の売買にかかる手数料、資産を外国で保管する場合の費用等が必要となり、商品ごとに費用は異なります。お客様にご負担いただく費用の総額は、投資信託を保有される期間等に応じて異なりますので、記載することができません(外国投資信託の場合も同様です)。
  • 投資信託は、国内外の株式や債券等の金融商品に投資する商品ですので、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による、対象組入れ有価証券の価格の変動によって基準価額が下落することにより、損失が生じるおそれがあります。
  • 投資信託は、組入れた有価証券の発行者(或いは、受益証券に対する保証が付いている場合はその保証会社)の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等による、対象組入れ有価証券の価格の変動によって基準価額が変動することにより、損失が生じるおそれがあります。
  • 上記記載の手数料等の費用の最大値は、今後変更される場合があります。
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信用取引には、約定代金に対し、最大1.265%(税込み)(手数料金額が2,750円を下回った場合は2,750円(税込み))の売買手数料、管理費および権利処理手数料をいただきます。また、買付けの場合、買付代金に対する金利を、売付けの場合、売付株券等に対する貸株料および品貸料をいただきます。委託証拠金は、売買代金の30%以上で、かつ300万円以上の額が必要です。信用取引では、委託証拠金の約3.3倍までのお取引を行うことができるため、株価の変動により委託証拠金の額を上回る損失が生じるおそれがあります。

  • 自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがあります。
  • 2037年12月までの間、復興特別所得税として、源泉徴収に係る所得税額に対して2.1%の付加税が課税されます。

岡三証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第53号
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(2023年1月1日改定)

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