武部力也の週間為替相場見通し(7/8週号)

2019年07月05日

「パウエル議会証言」で米利下げ見通しを探る展開

ドル円予想レンジ 106.60-108.80円

 「I am pleased to announce that it is my intention to nominate Judy Shelton.(わたしはジュディ・シェルトン博士を(FRB理事に)指名する事を謹んで発表します)」-。これは7/2にトランプ大統領がツイッター投稿した文章だ。同日の英経済紙は“Trump to nominate Fed critic to the central bank’s board. (トランプ大統領はFRB理事にFRB連邦制度批評家を指名)と異端的な視点で掲載。一体、シェルトン氏とは何者なのか。

“米利下げ派候補登場”。迎え撃つパウエル証言

 FRB理事は定員7人の内、2人のポストが空席まま継続しているが、そこにトランプ大統領はパウエル議長への刺客、とも言うべき2人の利下げ派を送り込もうとしている。一人はセントルイス連銀調査部長、クリストファー・ウォラー氏。同氏上役は、利下げを訴えることで有名なセントルイス連銀のブラード総裁である。先日7月の連邦公開市場委員会FOMCでは「50ベーシスポイント(bp)の利下げが必要だとは考えていない」との発言があったものの、前提は利下げ派だ。FRB理事候補ウォラー氏のスタンスも押して知るべし、となろう。無難な候補か。

 しかし、もう一人のFRB理事候補ジュディ・シェルトン氏は、前出の英経済紙が指摘したように、型破りな見解を示していることで有名だ。 彼女はFRB連邦制度や中央銀行の緩和政策自体が生産的な経済成長を阻害するものとして、為替操作の根源だと批判している。更には懐古的な経済政策ともいえる金本位制を掲げており、FRB人事の上院承認場面では物議を醸し、反発を呼ぶ恐れもある。こうした候補を指名すること自体、トランプ大統領の焦燥感が高まっているようにも映るが、そうした候補を以てしてもパウエル議長への圧力を強めたいのだろう。兎にも角にも2人の候補が理事に就けば、FRBの勢力は「ハト派」色が強まることが予想される。

 パウエルFRB議長は、7/10・11に米議会に金融政策報告書(通称ハンフリー・ホーキンス報告書)を提出し、併せて上下両院で証言する予定だ。果たしてパウエル議長はFRBの独立性と大人の姿勢を冷静に保ち、通商摩擦の影響による不確実性と米指標の吟味を以て7月利下げに踏み切る可能性の扉を開くか否か。証言内容如何では、トランプ大統領からの反発も予想され、政権とFRBの軋轢も一層高まりそうだ。シカゴFRDウオッチにおける7/31のFOMC利下げ確率は7/8時点で90%超。7/3に布野日銀審議委員は、FOMC前日開催の日銀金融政策決定会合にはFOMCで大きなサプライズがないという前提で臨むとの考えを示している。筆者も同様の見立てだが、パウエル議会証言が政治的軋轢を高め、変動幅拡大を誘引する可能性を警戒している。

7/8週ドル円焦点

 上値焦点は7/1-2高値圏108.48-54、6/19高値108.62、6/18高値108.675、6/17高値108.73、6/11高値108.815。下値焦点は6/26安値107.10、1/3の円急騰時から反転後、夕刻時の戻り安値106.75で6/25安値106.765。割れたら2018/4/9-12安値圏106.69-60。最終橋頭保は月足ボリンジャー-2σ106.168。

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