武部力也の週間為替相場見通し(3/4週号)

2019年03月01日

米中通商後の標的は「円」か、と身構える局面

ドル円予想レンジ 110.10-112.50円

前FRB議長「大統領は無知だ」

「No, I do not,(いいえ、違います)」-。これは2/25に「トランプ大統領はマクロ経済政策を把握していると思いますか」というインタビューに対するイエレン前FRB議長の答えだ。 FRB議長経験者が大統領を非難すること自体が異例だが、インタビューでイエレン前議長は、トランプ大統領がマクロ経済と中央銀行の使命については無知だと非難しており、厳しい見解を示していた。但し現実的なポイントはひとつではないか。それはパウエル議長がトランプ大統領に苦慮していると想像するには容易いものの、結局はトランプ意向に寄せた可能性であり、金融正常化の棚上げで米金利高によるドル買いインセンティブを低減させている点だ。

米中通商交渉後の標的は円か?

米中通商交渉に関しては、トランプ米大統領がツイッターで、「3/1実施予定の対中国関税引き上げを延期する」と投稿。米中軋轢の泥沼化は避けられた格好だ。3/5からの全国人民代表大会を控えた習近平国家主席にディール(取引)を持ちかけ、体裁を整えたようにも映る。報道では、日米物品貿易交渉(TAG)の初会合が4~5月に開かれる見通しだ。トランプ米大統領の5月来日を控え、2/27の議会証言ではライトハイザー通商代表は3月にでも訪日の意向を示すなど事前交渉開始が予想される。米側からは対米自動車輸出の数量制限などを迫ってくる懸念が報じられているが、では、具体的な標的は何か。筆者の警戒点はひとつ。米中交渉で米国側が中国に対し人民元相場の安定を維持するよう求めたことである。トランプ大統領は2016年大統領選の選挙戦中から、中国を為替操作国と非難していた経緯がある。昨年10月の米財務省為替報告書では、中国の「為替操作国」認定を見送ったものの、通貨安(人民元)の進展、透明性欠如を指摘。対中通商協議では為替の安定性を迫っている。つまり、中国が人民元を切り下げる手段を封じることが目的なのだ。そして「為替操作国」ではないものの、人民元同様に日本円も監視対象国に認定されている点に留意したい。前号では2/19の衆院財務金融委で黒田日銀総裁の本音(円高抑制)が引き出された、と指摘したが、今回の米中通商協議での為替事項が日米協議でもテーマになり円安が抑制される可能性も身構えておきたい。

3/4週ドル円焦点

上値焦点は112.00節目、12/20-21高値112.61-67、12/18高値112.865。下値焦点は200日線(111.30)維持、2/28安値110.65、2/27安値110.345、2/15安値110.25。テクニカル観点での最終橋頭堡は日足雲上限110.11。

出所:岡三ネットトレーダープレミアム

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