次の一手 ~市場の話題とテーマ~

2019年09月03日
岡三オンライン証券株式会社

【次の一手】売られ過ぎ銘柄への打診買い

東京市場を含む世界の金融市場はなお帰趨の見えない米中貿易戦争の行方に一喜一憂する展開が続いている。9月1日には米中が互いに相手国製品にかけ合う制裁関税を強化し、米国は「第4弾」を発動して従来は制裁対象にしていなかった1100億ドル(約11兆円)規模の中国製品に15%の追加関税を課し、中国も750億ドル規模の米国製品に5%~10%の追加関税を課す報復措置の一部を実施した。米国は10月1日には以前から25%の追加関税を課している2500億ドル分の中国製品への税率を30%に引き上げるほか、「第4弾」のうち年末商戦に配慮して先延ばししたスマートフォンやノートパソコンなど1600億ドル分に関しても12月15日には15%の上乗せ税率を適用する方針で、これに対しても中国側は対抗措置の準備を行っている。

まさに出口の見えない「泥沼化」の様相を見せ始めた貿易戦争だが、両国のみならず世界経済全体への影響もジワリと広がり、これが株式相場の上値を抑える大きな要因になっているのは周知のとおりだ。もっとも、2020年11月の大統領選での再選が至上命題であるトランプ大統領が、実体経済や株価への悪影響を懸念していったん休戦に動く可能性は否定できない。日本株に限って言えばPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)など株価指標の割安感も強まっている。このため、今後は必ず下落すると決め込んでカラ売りを仕掛けたり、指数の先物やオプションを使って売りポジションを組んでおくのもリスクは大きいと思われる。可能性は大きくないかもしれないが、仮に米中が電撃的に「一時休戦」で合意するようなことがあれば、売りポジションを組む投資家は損失確定のために買い戻さざるをえなくなり、踏み上げによって「大けが」をする事態にもなりかねない。

【日経平均株価:日足:6カ月】

また、9月17~18日に米連邦準備制度理事会(FRB)が開く米連邦公開市場委員会(FOMC)では2会合連続の金利の引き下げが確実視され、これより前の12日に定例理事会を開く欧州中央銀行(ECB)も利下げに踏み切るとの観測がある。残るカードが少ない日銀の追加緩和は、少なくとも消費増税後までは先送りされるだろうが、今年は7月の米国の利下げに前後してフィリピンや韓国、インドネシア、インド、ニュージーランド、タイなどがすでに利下げ済み。米国が追加の利下げを決めれば、この流れはさらに続くと予想されることも短期的には株を売りにくくしている。ここは一定の現金ポジションを保ちつつも、そろそろ売られ過ぎ銘柄へ打診買いを検討する局面なのかもしれない。

最近の東京市場では日経平均株価のPBR1倍割れがちょっとした話題になった。足下で日経平均株価の1株純資産は2万300円程度と推計され、これを下回ればPBR1倍割れとなる。PERはあくまで他の銘柄や過去との比較において割安、割高を測る指標で何倍が適正かという絶対的な基準はない。これに対してPBRは「解散価値」と言われる1倍が絶対的な基準値だ。これを割り込めば会社を清算して出資者(株主)に資金を返還した方がいいという水準で、大きく下回る銘柄は割安であることは間違いない。今期業績が赤字予想であれば純資産が減ることになるが、増益見通しであればリスクは乏しく見直し余地は大きいと言える。その視点で今期業績予想が増益であるにもかかわらず、PBRが1倍を大きく割り込む銘柄を改めてチェックしてみたい。以下は参照銘柄だ。

コード 銘柄名 PBR 終値(9/3) 発注画面
5017富士石油0.25235
5121藤倉コンポジット0.38393
5185フコク0.37668
5658日亜鋼業0.30275
6205OKK0.25691
6373大同工業0.36788
6962大真空0.30951
7898ウッドワン0.241,005
7955クリナップ0.37525
8101GSIクレオス0.33996
9760進学会ホールディングス0.34459
9854愛眼0.32 236

執筆者

今野 浩明 氏

株式会社ストックボイス 記者
専門紙や情報配信会社、ラジオNIKKEIで記者として活躍。

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