8.もちあい圏の見方

8.もちあい圏の見方

上昇してもいつかは上げ止まり、反対に急落してもいずれは反発するのが相場である。修正場面では、上値抵抗線と下値支持線にはさまれた値動きを一定期間にわたって継続することがある。

この値動きは「もちあい」と呼ばれるが、その後の相場が上下いずれへ動くかを見極めるのが非常に難しい場面である。もちあいの状態が続いても、いずれはどちらかに放れるわけで、再度それまでの方向に動き出した場合は、結論から言って上昇・下落途上の踊り場(中段もちあい)を形成したことになる。一方、以前とは逆の方向へ動き出した場合には、そこが転換の起点となり、転換点もちあいと呼ばれる。

パターン分析とは

中段もちあいか転換点もちあいか後になって区別するのは簡単なことだが、それでは売買当事者にとっては何の意味もない。もちあいから放れる前の段階で、その後の方向をいかに予測するかが重要である。ここでも支持線抵抗線の見方が生きてくる。

つまり、買い方と売り方の勢力しだいでチャートに現れる形が異なってくるので、注意しなければならない。これは、過去の相場の動きから典型的なパターンを見つけ出し、形に準じて上下のいずれへ動く可能性が高いかを探るという手法で、パターン分析と呼ばれている。

中段もちあい

まず、中段もちあいの代表的なパターンについて、上昇相場の場合で見ることにする。

三角もちあいという言葉を聞いたことのある人も多いと思う。図8-1を見ていただきたい。これは典型的な三角もちあいの形でペナントとも呼ばれる。ではなぜ、このような形になるかを考えてみたい。

上昇を続けてきた相場が頭打ちにあい上値をしだいに切り下げてくると、買い方の不安が高まってくる。しかし、その下げ方が緩やかであれば、売りの主体は買い方の利食いによるものだと考えられる。そして同時に、下値も徐々に切り上がってくるようであれば、新たに売りで参入する投資家の力のなさの証明と解釈できる。いったん利食って勢いのついた買い方が、再び攻勢をかければ上値の抵抗は突破しやすくなるはず。したがって、上げ相場に現れる三角もちあいは「上放れの公算大」と読むべきである。

図8-2の上昇三角形は三角もちあいの中でも上放れの確率がより高い形である。

図8-3の下降ウェッジは形が下向きなので、下落を示唆する感はあるが、実は上昇する可能性が高い。

図8-4上昇フラッグは「上昇を示唆する旗」という呼び名を持つ形で、三角形ではないが下降ウェッジと同様、いずれ上放れる可能性が高い。

下落基調での中段もちあいのパターンは図8-5~8の通りで、解釈の仕方はいずれも上昇局面での中段もちあいの裏返しである。

図8-9 ユーロ/ドル週足

ローソク足で見る中段もちあい

さて、本間宗久翁が後世に残した酒田五法をはじめとするローソク足の見方においても、中段のもちあいについて、よく似た指摘がある。いくつかの例を見ることにする。

1.買いの型

つばめ返し(図8-10)は、相場の出直りの初押しに見られることが多い形である。浅い押しにとどまり、直前の高値を上抜けば買いサインとなる。つまり、大陽線が出た段階で下値にはもはや用がないという兆しである。前述の上昇フラッグと同じ形であり、売り方の抵抗力の弱さがうかがえる。図8-11の立て込みと呼ばれる形も同様の解釈でよい。

2.売りの型

つばめ返しの逆とも言えるのが、図8-12の崩れの玉返しで、下降フラッグ同様に反発力の乏しさが戻り売りの決め手である。これに類するのが図8-13の戻り花火で、3本めの陽線が高値から下げて終わったため上ひげになっていることに注目したい。翌日には力のない足型が出ることが多く、その場合は売りが有利。しかし、一段の高値をつけるようならV字型の底入れともなりうるので、売りは見送るべきである。

図8-14の崩れ小石とは、上昇を暗示する下降ウェッジに似ているが、こちらは弱気のパターン。決定的な違いは急落後に現れるという点であり、堅いと思っていた下値支持線を徐々に下回っていくことから下値指向がうかがえる。言わば、下降三角形の変形とみなすべきであろう。

ボックスとチャンネル

三角もちあいと並ぶ、もちあい圏の典型的なパターンにボックス相場がある。ボックス相場とは、抵抗線と支持線にはさまれた値幅内で推移する局面を言う(図8-15)。ボックスの値幅が大きい場合は、RSIなどのオシレーターを用いた逆バリが有効である。ただし、ボックスの期間が長い場合、抜け出てからの動きが大きくなることが多い。そのときは、放れた方に素直についていきたい。

ボックス圏に似た値動きがトレンド形成中の期間に現れることがある。図8-16に見られる値動きがそれで、平行する2本の線にはさまれる格好になっていてチャンネルと呼ぶ。なお、トレンドラインと平行する線はアウトラインと呼ぶ。これは、上昇局面ならば高値とその次の高値を、下降局面なら安値と次の安値を結んだものである。

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