4.支持線と抵抗線

4.支持線と抵抗線

まず図4-1を見ていただきたい。銘柄、日付、値段はあえて伏せておく。さて、この場面では買うべきか、売るべきか、それとも様子を見るべきか?

図4-1

攻防の分岐点

上昇を続けた相場が過去につけた高値に迫るものの、それをどうしても抜くことができないという状況がしばしば起こる。下げ相場でもしかりで、以前につけた安値近辺では不思議と反発することが多いものである。理由としては2つのことが挙げられる。

  • (1)過去の高値や安値を利食いの目標としている人が多いため、それに接近すると手じまいの注文が増える。つまり、高値では買い方が売りに転じ、安値では売り方が買いに転じるからである。
  • (2)高値をつかみ、その後の下げ相場で手じまえなかった買い方が、買い値に戻ってきたので「ヤレヤレの売り」に出る。同様に安値で売ってしまった人が、上昇後の反落場面ではひと息ついて、手じまい買いに出る。

かくして、前回の高値や安値に再接近すると、それまでの流れに変化が生じるのである。よく耳にする上値抵抗線とは、この頭打ちにあう上値の壁であり、逆に下値支持線とは下からの圧力が強まる水準のことである。

設問について解説すると、相場の流れは上向きだが直前の高値に急接近しており、目先的に売り物が集まってくる可能性がある。また、安値からはかなり上げた水準でもあり、買いで仕掛けるには、やや遅過ぎた感もある。ここで買うわけにはいかない。抵抗を抜けたら買い、抜けなければ支持線を割るまで様子見が無難なところである。

放れにつく

ただし、上値抵抗線と思われた水準を上に抜いたらどうなるか。この場合は話が大きく変わってくる。相当量の売り注文をこなして上に行ったときは買い方勢力の強さのあかしである。また、売り注文があまり出ずに上げたのなら、買い方の前に立ちはだかるはずの「売り方勢力の結束力のなさ」が指摘されるわけで、この場合も買い方優勢となる。結論として、一段高を狙える場面と言える。上放れは買いである。

逆に、下値の支持線で下げ止まっていた相場が、下に抜けてしまうと買い方の見切り売り(失望売り)が集中して一段安に向かうことがよくある。こうしたことから、もちあいは放れた方につけと古くから言われている。

図4-2

<図4-2>は<図4-1>の続きのチャートである。実はユーロ/ドルの相場推移である。2020年9月1日には一時1.2010ドルと1.20ドル台を回復したが、その後は11月後半にかけて1.16ドルから1.19ドル台でのもみ合いが続いた。しかし、12月1日に抵抗線を突破すると、2021年1月7日には一時1.24ドル台まで上昇する展開となった。まさに放れにつくべき相場であった。このように抵抗線を突破したのを見極めてから仕掛けるやり方は、順バリの基本と言える。

支持線、抵抗線の転化

支持線と思われた水準から下放れてしまうと、それまでの買い方は苦しい立場に追い込まれる。早めに売っておかないと、一段安となったとき損失が膨らんでしまうからだ。

そこで、自分の買い値まで戻したら売り抜けようと考える人が出てくる。そうした行動が集中するのが、以前の下値支持線の水準である。つまり、下げを食い止めようと買い方の勢力が結集した地点である。だが、いったんこの防衛拠点が破られると、ここは敵の陣地と化す。つまり、売り注文が待機する場となる。かくして、かつての支持線は、もはや上値の抵抗線へと転化する。この逆もしかりで、いったん破られた抵抗線は、その後は下値の支持線に転化する。

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