24.三段高下の法則

24.三段高下の法則

いったんは押し目を作った相場が出直ってきたようなときに「三段上げもありそうだ」との声を聞くことがある。これは「三段高下の法則」と呼ばれる一種の波動理論による考え方である。

三段高下の法則では、天井を打って再び底に至る過程が図28-1のように10の段階に分けられている。つまり、上昇相場の場合では、天井に至るまで3段階の上昇波(方向波動)があり、その途中の2段階で反動(訂正波動)が起こるというもので、これは先に述べたエリオットの波動理論とほぼ同じ。しかし、下降相場についてはエリオットが下降2波と反動1波の計3波としているのに対し、三段高下の法則では上昇時と全く逆の下降3波と訂正2波の計5波を形成するとしている。

反動の目安

さて、問題となるのは訂正波動、つまり戻りや押しの幅がどの程度になるかという点だが、これもエリオットの波動理論と同様で、方向波動の値動きの3分の1、2分の1、3分の2、および全値(方向波動と同じ幅)が目安になる。ただ、第一段階での訂正幅が最も大きく、段階が上がるにつれて小さくなる点に特徴がある。

なぜ初期の訂正が大きく、後期に小さいかと言うと、例えば上昇相場の当初は上げに対する確信が持てない警戒の売り物が出やすいが、上昇の勢いが増せば売りが手控えられるといった心理的な要因があるからである。注意したいのは、上昇局面での第一、第二段での押しが意外に深いときである。この場合は三段上げにつながらないことが多く、早めの見切りを考えた方がよい。

また、上昇相場は必ずしも三段上げで完了するとは限らない。時には四段ないし五段の上げとなることもありうる。

局面ごとの特徴

三段高下の法則の実戦に応用するために、各局面を買い方のエネルギー中心に考えてみたい。

豪ドル/円月足

[ポイント①]打診買い
長期下落基調から立ち直る気配を見せたとき、つまり下降トレンドを上抜いたときは、目をつぶって買ってみるべき場面である。下げ相場が続いた後だけに、ついていきにくい場面だが、トレンド追随型の指標の多くは買い信号を出しているはずである。
[ポイント②]初押しは買い
安値覚えの売りと①で出遅れた向きの押し目買い注文が集まる局面である。3分のl押しの水準を目安にして買い拾ってみたい。その後、半値押し、あるいは3分の2までの押しがあっても下げ止まれば、本格的な上げ相場が期待できる。
[ポイン卜③]トレンド追随
初押し後、中段もちあいから上抜けると、ここは慎重派も見逃せない場面。移動平均線などを用いたトレンド・フォローの買い注文も増えてくる。順バリでよい。値ごろの高さが気になるところだが、買いにくい相場は高い(高くなる)ものである。オシレーターなどによる単純な売り向かいは禁物。
[ポイン卜④]手じまい売り
上げの末期は売り方の踏みを中心として上昇幅も非常に大きくなり、買い方の利益が最も膨らむところである。しかし、グランビルの法則を思い出し、移動平均との乖離が極端になったら、しっかりと利食うべきである。その後、一気に上昇トレンドを割るようなら、買い方の投げが出はじめるので新規売り場面となる。
[ポイン卜⑤]戻り売り
上げの末期の間に新規に売るに越したことはないが、天井をつけた後の下げは速い。また、急落後の反発も買い方の戻り売り狙いから伸び悩むことが多い。そこで、第一段の下げの3分のlおよび、2分のl戻しの水準に指値を入れておきたい。ただし、先の高値を簡単に上抜くようなら、仕手が絡んでいる可能性がある。すぐに買い戻すべきである。
[ポイント⑥]手じまい買い
強材料が皆無で、出来高や取組高が極端に細ってきたら、売り玉は手じまいたい。高値をつかんだ買い方の玉整理が一段落するころであるからだ。そして、新規買いのチャンスが出てくる局面でもある。

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