19.ディレクショナル·ムーブメント
RSI、パラボリックと同じくW.ワイルダーが考案したディレクショナル·ムーブメント(Directional Movement)はトレンドの強弱を見る手法である。
ディレクショナル・ムーブメントは、相場の上昇と下降をそれぞれ指数化し、トレンドの強弱を計算し、これをグラフ化したものである。用いる指数は、次の通り。
+DI…プラスの方向性指数(上昇力を表す)
-DI…マイナスの方向性指数(下降力を表す)
ADX…トレンドの強さの指数
ADXR…ADXに14日前のADXを加えて2で割った数値
方向性指数(+DI、-DI)を求めるには、まず上昇幅(+DM)と下降幅(-DM)を算出する。
上昇幅:+DM=C-A
下降幅:-DM=B-D
- A:前日の高値
- B:前日の安値
- C:本日の高値
- D:本日の安値
ただし、+DMと-DMのどちらかが正数なら、他方を0とする。その条件を図21-1~3に示す。
次に、実質的な変動幅(以下、TR)を求める。
TRは次の3つのうちの最大の数値となる。
- 本日の高値一本日の安値
- 本日の高値一前日の終値
- 前日の終値一本日の安値
Kラインの数値の算出方法は表20-1の通りである。算出した値は、直近の車引直が過去5日間の価格変動のうちで、相対的にどの水準にあるかを%で示す。
+DIは+DMをTRで割り、-DIは-DMをTRで割って求められる。なお、グラフ化するには、+DI、-DI、TRの移動平均値(期間は14日間)を用いる。+DMの14日平均値を+DMI4、TRの14日平均値をTR14とすると、
+Dlの14日平均=+DM14÷TR14となる。
なお、+DMの最初の14日平均は単純に14日間のDMの合計を14で割ればよい。翌日からは、(前日の+DMの平均値×13+本日の+DM)÷14の式で求める。
-DIも同様にして求める。
+DIと-DIの差はトレンドの強さを示す。
+DI>-DIで、その差が大きいときは上昇トレンドが強いと見る。
反対に、+DI<-DIで、その差が大きいときは下降トレンドが強いと見る。
さて次に、トレンドの強さの指数ADXの求め方だが、その前にDX(Directional Movement Index)を算出する。
DXは、+DIと-DIの差の絶対値を+DIと-DIの合計で割った数値である。ADXは、DXの14日平均値である。また、ADXRは当日のADXに14日前のADXを加えて2で割った数値である。
DX、ADX、ADXRのいずれもトレンドの強さの指数であるが、ADXRが最もなめらかな線、次がADX。DXは振幅が大きくなる。図21-4ではADXを用いた。ADXが反転したときをトレンド発生時点・終了時点と見る。売買のポイントは+DIと-DIが交差したときである。