18.ストキャスティクス

18.ストキャスティクス

米国のチャート分析家ジョージ·レーンが考案したストキャスティクス(Stochastics)の基本的な考え方は%Rオシレーターとほぼ同様だが、2本の線を併用する点に特徴がある。

ストキャスティクスは、買われ過ぎ、売られ過ぎを読み取り、さらに%K%Dという2本の線の相関関係から売買のポイントを見つけ出す手法である。計算を行う場合、期間の取り方によって結果がかなり異なるが、一般的には5日間の価格推移を基本とする。

2本の線のうち、まず%K(以下、Kライン)と呼ばれる線の引き方から見てみよう。

Kラインの数値の算出方法は表20-1の通りである。算出した値は、直近の車引直が過去5日間の価格変動のうちで、相対的にどの水準にあるかを%で示す。

Kラインの数値の意味は、RSIと同様で、70%以上の数値なら買われ過ぎ、30%以下なら売られ過ぎとなる。ただし、KラインはRSIなどとは異なり、これだけでは売買の目安としては不十分なので、より重要な%D(以下、Dライン)と併用する。

そのDラインとは、Kラインの数値をさらに3日間で修正したもの(表20-2)であり、Kラインよりなめらかな動き(Kラインに運行する線)となる。

注目ポイン卜

  • (1)売買の目安とするときの基本は、Dラインの70%以上、30%以下に注目する。特に85%以上に位置した場合の売りサインや、15%以下となった場合の買いサインの信頼度は高い。
  • (2)相場が上昇を続けているのに、Dラインが70%以上の位置で右下がりのダブル・トップ型となった場合の逆行現象は弱気サイン。逆に、相場が下落し続ける一方、Dラインが30%以下で右上がりのダブル・ボトム型となれば強気サイン。
  • (3)KラインとDラインが①の条件を満たした上で交差した場合も重要。このとき、2つのケースが考えられる。つまりKラインが先に方向転換してDラインと交差する場合(図20-1-A)と、運行するDラインが方向転換した後にKラインが追いかける格好で交差する場合(図20-1-B)がある。この2つのうち、相場の転換につながる確率が高いのは後者の方である。しかし、単純に交差した場合より、②の条件も満たしている場合は信頼度がより高くなる。

考案者のレーンも、KとDが15%以下や85%以上の位置にあり続け、かつ交差の回数も3回めになると、転換サインとしての信頼度はかなり高くなるとしている。したがって、新規建玉のポイントは3回め、もしくは前述のような逆行現象が現れた場合だけと割り切って使用すればよいだろう。

スロー・ストキャスティクス

KラインとDラインとの関係の動きはやや荒っぽく、見づらいという欠点がある。そこで、Kラインの役目をDラインに持たせ、Dラインの代役はよりなめらかな動きをする「スロー・%D」(以下、SDライン)を使う方法が考案された。スロー・ストキャスティクスと呼ばれる手法である。

SDラインの数値の求め方にはいくつかの方法があるが、Dラインの3日間移動平均を用いるケースが多い。

売り·買いの転換ポイントの見方は通常のストキャスティクスの場合に準ずる。ただし、2本の線の交差3回めに注目する方法は、この場合は使わない方がよい。通常のKラインは変化が激しいのに対し、スロー・ストキャスティクスでその代用となるDラインは敏感さで劣るためである。

図20-2ポンド/ドル日足

<図20-2下段>が、DラインとSDラインによるスロー・ストキャスティクスの例であり、<図中段>のファスト・ストキャスティクスに比べると随分見やすくなっている。

以上、日足のチャートに対応するストキャスティクスを見てきたが、週足や月足にも対応させてもよい。

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