15.RSI

15.RSI

RSI(Relative Strength Index)とは、相場の買われ過ぎ、売られ過ぎを示すテクニカル指数であり、日本でも「相対力指数」と呼ばれ、広く活用されている。RSIを考案したのは、米国のチャート研究家であるW.ワイルダーであり、逆バリで仕掛けるタイミングが簡単な数式で求められるので、その人気は世界中に広まった。

RSIの計算式は、10日間を計算の対象とした場合を例にとれば、表17-1のようになる。この数式の特徴は、一定期間内において、前日に比べて高引けた日数と安引けた日数をその基本として、さらに上げ幅と下げ幅を取り入れて、相場の行き過ぎの度合いを追及している点である。

計算の対象とする期間について、ワイルダーは14日間が最適としている。これより短いと、「行き過ぎ」に対して敏感ではあるが、「だまし」にあう確率も高くなるとしている。一方、対象期聞が長過ぎると反応が鈍くなり、仕掛けるタイミングを逸してしまうとされる。

RSIの数値は、100%に近いほど買われ過ぎ、0%に近いほど売られ過ぎを示す。ワイルダーは14日間のRSIが70%以上をつけたときは買われ過ぎで、30%以下なら売られ過ぎと判断すべきだと説いている。ただし、通貨は10日間の方が適していると考えられている。

なお、70%以上は売り、30%以下で買う方法はいつでも通用するわけではない。中期的に上昇トレンドにある場合は、70%以上の水準から50%あたりまで下げてきたときが押し目買いのポイントになる。30%以下にはなかなか下げない。もし、30%以下に下げるようなら、上昇基調が崩れて下降相場に入っている可能性が高くなるので要注意である。つまり、戻り売りに方針を変えることも考えなければならない。逆に、中期的な下降トレンドにあるときは、50%前後の水準が戻り売りのポイントとなるケースが多い。

RSIの弱点

RSIの問題点は、往来相場には非常に有効である半面、意外な上伸や深押しがあると、手痛い結果につながる。行き過ぎもまた相場と言われるように、信じられないような値動きが起こるのが相場なのである。過去にも、買う材料が全くないはずの商品相場が仕手につけ込まれ、大相場に化けたことがあった。そのとき、RSIは90%を超えたが相場は上げ続け、100%に近い数字を約20日間も示した。RSIのみを信じて売り向かっていれば、とんでもない結果が待っていたわけである。

図17-1 ドル/円日足

しかし、RSIは図17-1からも明らかなように相場トレンドとよく似たトレンドを形成するので、そのトレンドに注目することで難を逃れることができるはずである。つまり、一定レベルに達した場合でも、すぐに逆バリを行わず、RSIのトレンド反転を見てから仕掛ける戦法である。RSIのトレンド反転のタイミングは値動きに先行することが多いという特徴があるからだ。

逆行現象

RSIの最も信頼できる場面は、70%以上もしくは30%以下の数値が出た後に相場とRSIに逆の動きが現れたときである。例として図17-2を見ていただきたい。

図17-2 ドル/円日足

下降相場でRSIが30%以下となったときに、Bの値位置がAよりも低いのに対し、RSIのbはaよりも高くなっているという逆行現象を示している。これは買いのチャンスであり、仕掛けのタイミングは、RSIがa · b聞の低い数値(山)を上回ったときが良い。また、相場が上げ続けた後でRSIが70%以上となり、相場のC·DとRSIのc· dが相反する関係になっていれば売りの好機である。タイミングはc·d間のRSIの谷を下回ったときである。

なお、この相場と指数の「逆行現象」は、他のオシレータ一系指標を使う場合も同様に応用できる。

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