11.新値足

11.新値足

「時系列チャート」の代表と言えばローソク足だが、時間の概念を取り去り、相場の方向だけを機械的に捉えるチャートを「非時系列チャート」と呼ぶ。代表的なものとしては「新値足」「練行足」「ポイント・アンド・フィギュア」などがある。

新値足は日本の伝統的なチャートの1つであり、主観を排除して、すう勢の変化を読み取る手法である。

新値足の名は、高値、あるいは安値を更新したときに足型を書き込むという記入要領からきている。記入の前提として、一定のルールを決めておくことが必要となる。ここでは「値段は終値ベース」、かつ「直前の足型三本を抜いたら相場反転と見なす」という条件の大引三本抜新値足を見ていく。

表12-1の値動きを例にとって、その書き方から解説する。図12-1を参考にしていただきたい。

  • (1)最初に、第l日めの100円から翌日の101円への上昇に相当する陽線を書き込む。
  • (2)3日めも102円の新高値で引けたので、新たな陽線を前日の陽線の右上に記入する。106円までは同様。
  • (3)5日めは104円までの反落となったが、反転と見なすための三本抜きの条件は満たしていないので、この動きは記入しない。
  • (4)6日めには新高値をつけたので陽線を加える。
  • (5)反転と見なすのは110円の高値をつけた後、11日めに106円まで下げたときである。この時点で直近3本の陽線の最安値107円を下回り、三本抜きの条件に合致する。ここで、直前の陽線から下方へ陰線を引く。これは陰転と呼び、売りサインとなる。
  • (6)その後104円までは、下げに準じて陰線を記入する。
  • (7)しかし、その後は反発し、17日めの110円は陰線3本を上抜いているので、今度は陽転、つまり、買いのサインとなる。
  • (8)相場は111円で頭打ちにあい、反落している。陰転するかどうかは104円を下回るかどうかにかかってくる。103円となると直近の3本(陰線l本、陽線2本)を下抜いてしまうからである。

実際の相場推移を見てみよう。図12-2では、① 3月下旬の売りサイン、② 4月中旬の途転買いサイン、③ 5、6月に入ってからは途転売りサイン、④ 5月中旬の買いサイン、⑤ 6月上旬の売りサイン、⑥ 6月下旬の売りサインと出しているが、①、③、⑤は「だまし」、②、④、⑥いずれも基調にうまく乗るためのサインを出している。

この例で分かるように、新値足はトレンドの変化を見逃すことはない。新トレンドが大きく、かつ中・長期的なものになったときは効果が大となる。しかし、その半面、本格的なトレンド形成に失敗し、もみ合いとなった場合はだましにあうことは避けられない。また、反転の直前の足が大陽線(陰線)だったりすると売買サインが遅れがちとなる欠点もある。

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