10.出来高
値動きの分析・予測にあたって値動き自体に注目するのはもちろんのこと、人気の度合いを示す出来高や取組高を見つめることも重要なアプローチである。
出来高とは、一定の価格で約定が成立したときに買い注文と売り注文が出会った数量のことである。「出来高は100枚」という場合は、買い100枚に対し売り100枚の売買が成立したことを示す。
出来高が売買成立時の値段における売り・買いの圧力を表している。出来高によって値動きの背後にある勢力や切迫度をうかがい知ることができる。
例えば、相場が上がったときはそれだけで買いが売りに勝ったことが分かるが、さらに相当の出来高を伴っていれば大量の供給をこなして余るほどの需要があったことになる。わずかな出来高で上げたときとは意味が違い、本格的な上げの継続が予想される。また、下げ相場においても相当の出来高を伴うときは先安感が強いと言える(図10-1)。これら出来高と値動きの関係については、一般的に次のようなことが言える。
ただし、❹については「強材料に反応しやすい地合い」ぐらいに解釈すべきである。その理由は、閑散とした商いの中でジリ安が続くのは、むしろ長期的な下げ相場によく見られる現象だからだ。
相場の上げ・下げは強弱の材料だけではなく、これを後押しする人気の裏付けが反映されるものである。出来高が価格の先行指標と言われる理由はそこにある。