【業界図鑑】小売業界 ~ 訪日外国人の帰国後にも注目

2018年11月28日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】小売業界 ~ 訪日外国人の帰国後にも注目

2018年9月、訪日外国人客数が2013年1月以来の5年8ヵ月ぶりに、前年同月比を下回ったことが話題となった。東アジアからの利用が多い関西空港や新千歳空港が自然災害で一時閉鎖されたことが原因と見られる。ただし影響は限定的で、10月にはプラスに回復。客数は264万600人 (前年同月比+1.8%) で、中でも中国人が71万5,300人 (同+7.8%) と10月として過去最高を記録している。中国人は消費意欲が旺盛だが、具体的には何を購入しているのだろうか?

1. 訪日外国人の買物代が減少

観光庁の「訪日外国人消費動向」を見ると、購入されている費目の第1位が「化粧品・香水」、第2位が「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」となっている。比較的高額な「電気製品」は第6位、「カメラ・ビデオカメラ・時計」は第8位であり、いわゆる「爆買い」が話題となった5年前より購入額が少額化していることが分かる。

実際に、訪日外国人全体の旅行消費額は2018年7-9月期が1兆884億円であり、前年同期比の1兆2,306億円から減少している (調査方法に変更あり) 。1人当たり旅行支出は15.6万円。内訳を見ると、宿泊費や飲食費はそれほどでもないが、買物代が減少していることが鮮明である。

<訪日外国人旅行消費額の費目別構成比>

出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」

2. 中国人富裕層はどれくらい存在するのか?

国籍別にみると、2018年7-9月期の旅行消費額1兆884億円のうち37.2%の4,050億円を中国人が占めている。前年同期が44.1%の5,433億円だったことと比較すればかなりの減少である。しかし、帰国後に越境ECを通じて購入しているため、日本製品の人気が衰えている訳ではない。

中国の人口約14億人のうち、「中産階級」の人が4億人以上に達していると言われている。2004年に中国統計局が初めて「中産階級」を定義づけした。世帯年収6万~50万元の層であり、日本円にすれば100万~800万円ということになる。当時は都市部を中心に6,000万人存在し、人口の5%程度でしかなかった。日本製品を購入できる人々が急激に増加していることが分かる。

3. 越境ECのインフラが整っている

中国のインターネット人口は急速に伸びている。中国インターネット情報センター(CNNIC)によれば、既に8億200万人に達した。2005年には1億300万人だった。また、人口の57.7%が頻繁にインターネットを利用している。中国では日本と異なり、プロバイダ契約をせずにネット接続できるのも特徴的である。中国の電話番号を持っていれば簡単に利用することが可能だ。また決済インフラも整備されている。例えばビックカメラの商品は「国美海外購日本館」、ヤマダ電機の商品は「KAOLA (コアラ) 」といった越境ECで購入することができる。訪日時に購入したものを帰国後にリピートする人たちが増加しているため、日本製品の売り上げは好調なのである。

ただし、日本製品なら何でも売れるわけではない。伝統品などの東洋的な物より西洋的な物が売れる。テレビやエアコンなどの耐久財よりデジカメやノートパソコンが売れる。特に美容家電やキッチン家電が人気のようだ。耐久財であればかなりのハイエンド商品でないと魅力がない。売上を伸ばすには、日本人相手とは別のマーケティングが必要であり、嗜好の変化にも対応していかなければならない。

<小売業のマッピング>

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 小売関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(11/28)
注文画面
2730エディオン東証家電量販店上位。中部、西日本が地盤。白物家電が好調。1,228
3048ビックカメラ東証家電量販店大手。ターミナル駅周辺に展開。インバウンド、EC共に好調。1,617
7419ノジマ東証家電量販店中堅。神奈川地盤。2017年、ニフティを買収。白物家電が好調。2,553
7513コジマ東証家電量販店中堅。郊外に展開。ビックカメラの傘下。白物家電、カメラ、テレビが好調。509
8173上新電機東証家電量販店大手。関西地盤。ソフト専門店も展開。白物家電、テレビが好調。2,710

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

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