業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年10月10日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】海運業界 ~ 供給過多のコンテナ船を底堅い需要が支える

かつて東洋一の軍港と言われた広島県の呉港には、巨大な船が浮かんでいる。海運業界で国内首位の売上高を誇る日本郵船は、2016年2月に「NYK BLUE JAY」という14,000TEUの大型コンテナ船を竣工した。TEUとはTwenty Feet Equivalent Unitを略したもので、20フィートコンテナ1個分の容量を示す。1TEUは、長さ20フィート (6m) 、幅8フィート (2.4m)。世界最大級のコンテナ船は、20,000TEU規模で、全長400mに及ぶ大きさとなっている。

1. 巨大化するコンテナ船

JFEホールディングスとIHIが出資する造船会社・ジャパン マリンユナイテッド株式会社 (JMU) は、日本郵船から14,000TEU型コンテナ船を15隻受注している。前述の「NYK BLUE JAY」はその1番船にあたり、低速・高速運航の両方に適した省エネ型の画期的な構造を有する。

10番船からは「NYK」に替わって「ONE」の名前がつき、船体はマゼンタ色となった。2018年4月より、国内大手3社が出資してコンテナ船事業を統合した新会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス (ONE)」が営業を開始したからだ。出資比率は日本郵船が38%、商船三井が31%、川崎汽船が31%であり、今年度からは持分法適用会社となるため、各社の売上高から定期コンテナ船事業が外れる。

2. 底打ちしたコンテナ船運賃市況

自動車船やばら積み船といった「不定期船」において、日本の海運会社は世界首位級だが、「定期船 (コンテナ船) 」ではONEが発足してやっと第6位につけている状況だ。2016年には海運市況が悪化し、大韓航空などを傘下に持つ韓国財閥グループの大手・韓進海運が破綻。日本の大手3社もコンテナ事業統合に踏み切らざるを得なくなった。市況は同年の夏に底打ちし、その後は底堅く推移している。

<世界のコンテナ船ランキング (2018年10月)>

世界のコンテナ船ランキング (2018年10月)

出所:Alphalinerの資料より作成

<コンテナ船運賃市況(CCFI︓China Containerized Freight Index)>

コンテナ船運賃市況(CCFI︓China Containerized Freight Index)

出所:商船三井「マーケットデータ」

3. 需要と供給のバランスが重要

国際定期航路の運賃はどのように決まるのだろうか?かつては、いわゆる「海運同盟」が新規参入を防いだり運賃を定めてたりしてきた。1980年代になると、米国の規制緩和や欧州の独占禁止法適用の影響もあり、海運同盟は崩壊していった。したがって運賃は、荷物量と船のスペース、即ち需要と供給で決まる。供給側はコスト削減とシェア拡大のため、コンテナ船を大型化していった。適正価格を下回る安い運賃を提示することもあり、過当競争が起きやすくなっている。しかし、需要が大きく減少することも考えにくい。日本においても中小企業の輸出を促進する政策が進められ、Amazonが通関手続きを含めた輸出代行サービスの開始を発表するなど環境が整いつつある。今後もコンテナ市況は底堅く推移していくだろう。

4. 海運関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(10/10)
注文画面
9101 日本郵船 東証 海運国内首位。陸運、空運も展開。三菱グループ系。2017年度のコンテナ船売上高比率は31%。 2,088
9104 商船三井 東証 国内第2位。エネルギー関連が強い。三井住友系。2017年度のコンテナ船売上高比率は45%。 3,275
9107 川崎汽船 東証 国内第3位。2017年度のコンテナ船売上高比率は52%。 2,170
9110 NSユナイテッド海運 東証 新日鐵住金が筆頭株主。日本郵船系。ばら積み船が主。 2,675
9119 飯野海運 東証 ケミカル船が強い。不動産事業の比率が高い。 567

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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