業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年08月08日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】その他製品業界 ~ スポーツ用品メーカーはファッション性重視へ

2020年7月22日からスタートする東京オリンピックの日程案が、国際オリンピック委員会(IOC)で承認された。オリンピックまで2年を切り、今後スポーツ観戦への関心が一層高まることが予想される。しかし、スポーツ市場規模を拡大させるには高度なマーケティングが必要だ。

スポーツ産業の難しさの一つに、観戦人口と競技人口にはあまり相関がないことが挙げられる。例えば、競技人口の推計ではフィギュアスケートが約5,000人なのに対し、ハンドボールは約8万人。ハンドボールは全国高等学校体育連盟の加盟人数(2017年度)で、男女共10位にランクインしている。その割にはメディアに取り上げられることが少なく、観戦スポーツとしてはメジャーとは言い難い。

1.スポーツ市場拡大の狙い

日本生産性本部余暇創研の「レジャー白書2018」によれば、日本のスポーツ市場規模は4兆760億円(前年比+1.2%)だった。この中にはスポーツ用品だけでなく、スタジアム・アリーナ、プロスポーツ、スポーツツーリズムなどが含まれている。政府はスポーツ市場規模を2020年までに10兆円、2025年までに15兆円に拡大することを目標としているが、狙いは何なのだろうか?

まず、一流アスリートから生み出された経済価値を最大化して、その収益の再投資を促すことである。スポーツ用品が売れればスポンサー収入につながる。新しく建てられたスタジアム・アリーナには、一般向けのトレーニングルームやプールが併設されていることが多い。前述の統計においてフィットネスクラブ市場は成長著しく、4,610億円(同+2.9%)と過去最高を更新している。健康志向の高まりを、アスリートの事業環境への投資に回すことが期待されている。試合だけでなく参加型イベントも実施し、スタジアム・アリーナの収益力と魅力を高めることで、地方活性化につなげようとしていることは言うまでもない。

次に、周辺産業としてスポーツツーリズムの成長が期待されている。インバウンドにおいて、モノからコトへ消費が移転していることからも有望視されている。地方の観光資源をアピールし、訪日外国人の滞在日数延長から国際大会誘致までを狙いとしている。

2.女性と無関心層の取り込みが課題

一般向けビジネスと一流アスリート向けビジネスを自律的に好循環させるメカニズムは存在するが、実現は容易ではない。特にスポーツ人口を増やすには、新たな顧客層を開拓しなければならない。スポーツ庁の世論調査によれば、週1回以上スポーツをしている成人の割合は42.5%で、うち20~40代は35%未満である。特に20代女性(27.8%)、30代女性(27.7%)が低い。

スポーツ指導者やスポーツ団体役員は圧倒的に男性が多い。また偏った経歴の人材になりがちである。今後は女性や他業種の専門家を活用することが求められる。民間レベルでは、女性専用のジムやナイトランなどのイベントを提供し始めている。無関心層が入会しやすいように敷居を低くし、手軽に参加できるように工夫している。

スポーツ指導員とスポーツ団体役員の男女比率

スポーツ指導員

スポーツ指導員

スポーツ団体役員

スポーツ団体役員

出所:スポーツ庁資料

3.機能性だけでなくファッション性が重要

スポーツ用品メーカーのブランド力は、契約選手が活躍することで高まる。特に未成年者は憧れの選手と同じメーカーのものを身につけようとする。しかし、ブランド力を高めるにはそれだけでは不十分である。成人は手軽なランニングやトレーニングを好むため、お洒落なシューズとウェアを求めている。一流アスリート向けの機能は求めていない。

スポーツ用品ではナイキとアディダスが突出しており、日本首位のアシックスは、アンダーアーマー、プーマ、ニューバランスと共に第2集団につけている。アシックスは、ここ最近米国市場のトレンドへの対応が遅れ、シューズのシェアを奪われた。今期は引き続き米国と中国にフォーカスし、さらに高校生以上の若いランナーをターゲットにするとしている。機能性だけでなくプラスアルファ部分のファッション性がカギとなるだろう。日本メーカーは、ナイキやアディダスが得意とする日常的な「アスレジャー」ファッションの分野でもキャッチアップしていかなければならない。

スポーツ用品メーカー3社の業績推移

アシックス

アシックス

ミズノ

ミズノ

デサント

デサント

18/12期または19/3期以降はコンセンサス

出所:岡三オンライン証券 - 企業分析ナビ

4.スポーツ用品関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(8/8)
注文画面
7906 ヨネックス 東証2部 バトミントン、テニスで圧倒的シェアを持つ。大坂なおみ選手をはじめとする契約選手の活躍でテニス用品の売上が伸長。中国で直販体制を構築。海外売上高比率は50%。ブランドは「EZONE」「ASTROX」。 682
7936 アシックス 東証1部 国内首位。シューズが売上の8割。ジョコビッチ選手と契約し「GEL-RESOLUTION NOVAK」を市場投入。海外売上高比率は75%。ブランドは「アシックス」「オニツカタイガー」。 1,599
8022 美津濃 東証1部 国内第2位。ウェア、シューズ、競泳、野球も強い。ゴルフビジネス再建に注力。海外売上高比率は32%。 3,565
8111 ゴールドウイン 東証1部 スポーツ用品中堅。アウトドア関連が売上の7割。ラグビー市場に積極投資。ブランドは「ザ・ノース・フェイス」「ヘリーハンセン」「スピード」「エレッセ」。 7,760
8114 デサント 東証1部 スポーツウェア大手。アスレチックウェア関連が売上の7割。韓国、中国、シンガポールを中心にアジア全体で好調。バレーボールの石川祐希選手と契約。海外売上高比率は61%。ブランドは「デサント」「ルコックスポルティフ」「アリーナ」「マンシングウェア」。 2,000

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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