業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年06月06日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】陸運業界 ~ 引越単価上昇で好調を維持

今年3月下旬から4月上旬の引越ピーク時は、単身引越料金が10万円、家族引越料金が70万円と、閑散期の3~4倍にまで高騰した。希望日に合う業者が見つからない引越難民も現れ、法人は5月以降に延期するところも多かったようだ。運送業界全体におけるトラックドライバー不足問題や、政府による働き方改革が大きく影響している。

1. 引越専門のサカイ引越センターは過去最高益を計上

引越専門業者で唯一上場しているサカイ引越センターは188の支社を持ち、国内首位級である。2018年3月期決算は、売上高、経常利益とも過去最高で、それぞれ前年同期比+10.5%、+34.1%だった。数量と価格をみると、作業件数が前年同期比-159件(738,278件)とほぼ横ばいだったが、引越単価が前年同期比+9.5%と大きく上昇。運送業界全体の値上げ機運の高まりと、法人やタワーマンション一斉入居などの大型物件の受注増加が主因である。2019年3月期も、底堅い需要により増収増益を見込む。

2. 引越業界の歴史

戦後しばらくは、国策的運送業者として日本通運が引越業界をほぼ独占していた (2010年まで首位)。当時はそもそも地元採用の企業が多く、転勤は少なかった。1974年、中小運送事業者が「引越研究会」を開催し、6社が引越を片手間ではなく、専門事業として始めた。同年、13社に参加者が増え「引越専門協同組合」が設立される。その2年後、アートコーポレーション、サカイ引越センターといった引越専門業者が次々と誕生した。同年に、ヤマト運輸の宅配便事業も本格的にスタートする。そして大手による寡占化が進んでいった。

引越は運送業界の一部として扱われているため、それ自体の統計はないが、計算により現在の市場規模は、年間4,500~5,000億円と推定される。下記の大手3社で約50%のシェアを占めている状況だ。

<引越大手3社の直近通期売上高の推移 (単位:億円)>

サカイ引越センター 884
アートコーポレーション※ 991
ヤマトHD(ホームコンビニエンス事業) 489
合計 2,364

※ アート引越センターを運営。2011年6月、MBOで上場廃止。

出所:各社決算資料より作成

3. サービスの多様化で差別化を図る

業界の値上げ機運もあり、競争環境はやや緩和している。業界が健全化されつつあるが、引越プランの多様化はさらに続くだろう。小物類の梱包材、エアコンの取り外し・取り付け、家財引き受け、ピアノ輸送、ハウスクリーニングなどの組み合わせにより、顧客の要望にきめ細かく対応していかざるを得ない。また、単身赴任の引越需要が今後も底堅く推移することが見込まれ、引越業者が所有または仲介するトランクルームサービスも重要なオプションとなるだろう。

<引越関連業者3社の業績推移>

サカイ引越センター

昭和電工

日本通運

信越化学工業

ヤマトホールディングス

第一稀元素化学工業

注:19/3期以降はコンセンサス

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 引越業関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(6/6)
注文画面
9039 サカイ引越センター 東証1部 引越業で首位級。近畿を地盤に全国展開し、シェア20%を目指す。 5,880
9062 日本通運 東証1部 世界最大級の陸・海・空の総合物流会社。宅配便業は日本郵便へ譲渡。引越業の大手。 8,300
9064 ヤマトホールディングス 東証1部 宅配便業で国内首位。シェア約47%。ブランドは「宅急便」。アジア展開を推進。引越業は傘下のヤマトホームコンビニエンス株式会社が担当。単身引越に強い。Amazonと提携。 3,240
9076 セイノーホールディングス 東証1部 路線トラックのパイオニアで企業間物流が主力事業。ブランドは「カンガルー便」。引越業はセイノー引越株式会社が担当。 2,048
9090 丸和運輸機関 東証1部 3PL(third party logistics: 最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案・受託)事業で小売業に特化。低温食品物流に強い。ネットスーパーなどの宅配ブランドは「桃太郎便」。Amazonと提携。 3,905

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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