業界図鑑 ~業界・セクターごとのトレンドを掴む~

2018年05月09日
岡三オンライン証券株式会社

【業界図鑑】金属製品 ~ 競争が激化する住宅設備市場

東証33業種の中でも、どのような銘柄が含まれているのか、あまり知られていないのが金属製品ではないだろうか?金属製品は多岐に亘り、鉄骨・橋梁、サッシ、シャッター、自動車・家電部品、飲食料缶などを含む。 今回は、競争が激化している住宅設備市場を取り上げ、金属製品メーカーの今後の動きを予想する。

1. 金型などの部品から設備へ

金属製品メーカーは、中小零細企業として発展し、日本の製造業を支えてきた。かつては労働集約的な業界だったが、金型の設計・製造にCAD/CAM、CAEといったソフトが活用されるなど、先端技術が発達してきた。例えば建材のアルミサッシは、金型による押出し法で作られる。通常は金型から出た後に変形したり曲がったりするが、出口部分のランドという平らな部分で調整し精度を高めることができる。自動化が進み資本集約的になりつつある業界だが、不良品対策や高度な成形においては熟練技術者を必要としていることに変わりはない。

また、基本的に最終製品メーカーからの受注生産となるが、部品にとどまらず、水回りやキッチン設備まで手掛けているメーカーも多い。例えばアルミサッシをガラスと一体化させて「窓」を販売すれば、ショールームでエンドユーザーに直接訴求することが可能だ。

2. 伸び悩む新設住宅市場

国土交通省が2017年度の「建築着工統計調査報告」を発表した。首都圏マンション着工戸数は、5万7,591戸(前年度比-12%)と7年ぶりに6万戸を下回り、特に超高層マンションの供給に頭打ち感が出ている。全国の新設住宅着工戸数も94万6,396戸 (同-2.8%)となり、3年ぶりに減少。

新設住宅は利用関係別に見ると、持家、貸家、給与住宅、分譲住宅に分けられる。2016年度は前年の相続税改正もあり、節税対策として貸家の需要が伸びた。2018年3月は全て前月比マイナスとなり、全体の着工戸数は9ヵ月連続の減少となった。今後は2019年10月に予定されている消費増税の前に駆け込み需要があるとしても、大きく伸びることは考えにくい。

3. リフォーム市場と海外市場がカギ

そこで新たな成長市場として期待されたのが、リフォーム市場である。2016年の首都圏では、中古マンション契約戸数が新築マンション新規販売戸数を初めて上回った。さらに、国土交通省が「住宅ストック循環支援事業」を開始。良質な中古住宅の購入、住宅のエコリフォーム、エコ住宅への建て替えに補助金を出すというものだった。その効果もあり2016年はリフォーム市場が伸びたが、2017年9月に補助金が終了し低迷している。異業種からの新規参入者がいる中で市場が失速し、競争の激化が避けられない状況だ。

<建築物リフォーム・リニューアル受注高の推移(億円)>

建築物リフォーム・リニューアル受注高の推移

出所:国土交通省の資料より作成

金属製品業界には、これまで海外進出に積極的ではなかったメーカーが多い。しかし今後は方向転換せざるを得ない。例えば今年3月、シャッター第2位の文化シヤッター(海外売上高比率1%未満)が、オーストラリアの新築戸建住宅向けガレージドア市場で首位のメーカーを買収した。今後は業界全体において、積極的なM & Aと海外進出が予想される。

<住宅設備メーカー5社の業績推移>

三和ホールディングス

三和ホールディングス

文化シヤッター

文化シヤッター

LIXILグループ

LIXILグループ

ノーリツ

ノーリツ

リンナイ

リンナイ

注:18/3、18/12期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. 住宅設備関連銘柄

コード 銘柄名 市場 概要 終値
(5/9)
注文画面
5929 三和ホールディングス 東証1部 シャッター首位。業界に先駆けてグローバル化を進め、北米29%、欧州15%と海外売上高比率が高い。欧州経済回復の恩恵を受けている。サービス分野の強化とビジネスモデル拡大を目指す。 1,405
5930 文化シヤッター 東証1部 シャッター2位。2018年4月、スチールドア製造販売のルーテスを完全子会社化。軽量シャッターが低調だが、商業施設向けスチールドアは堅調。ビルの改修及び住宅リフォームに注力。海外事業の加速を図る。 1,062
5938 LIXILグループ 東証1部 住宅設備最大手。サッシ、キッチン、バスルームで首位。トステム、INAX、東洋エクステリア、新日軽、サンウエーブ工業が統合して発足。海外M & Aに積極的。米国、欧州、アジアにおいて水回り商品が好調。フル・バスルーム・ソリューション・プロバイダーとしてラインナップを拡充。 2,507
5943 ノーリツ 東証1部 給湯器第2位。コンロからシステムキッチンへ展開。太陽光発電も手がけ、温水空調分野を柱とする。中国、北米、豪州で事業を育成中。海外売上高比率は31%。 2,034
5947 リンナイ 東証1部 給湯器首位。中国、米国での給湯器販売が順調。海外売上高比率は45%。国内ではビルトインコンロでの競争激化などでコンロ販売が減少。ハイブリッド給湯・暖房システムや高効率給湯器など省エネ性に優れた商品や、ガス衣類乾燥機、食器洗い乾燥機、レンジフードを強化。有利子負債がなく好財務。 10,810

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。2014年7月、経済アナリストとして独立。
主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

社会人になって最初に配属された外国証券室で、Excelプログラミングの勉強を始める。次第に社内でシステム開発やデータベース構築を担当するようになる。その後、アナリスト、エコノミストへとキャリアを変えていくが、ITスキルを活用することで業務を効率化し、分析のための時間を生み出すことで仕事のスピードとクオリティを高めている。また、社内でワークショップを開催し、相手のつまずきやすい点を把握。わかりやすい教え方に好評を得ている。

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