「数十年に一度の大雨」が頻発 ~日本政府は国土強靭化計画を推し進める~

07/13(火)10:00

岡三証券 投資情報部
マーケット情報グループ 嶋野 徹
  • 地球温暖化の影響もあり、「数十年に一度の大雨」が頻発している
  • 日本政府は国土強靭化計画を推し進める。ただし財政負担は大きい
  • 民間部門の「ウェザーテック」市場の成長に期待。他方、財政悪化は円安要因に

水害被害は急増している

7月月初、静岡県熱海市で土石流被害が発生した。今回の土石流被害について、静岡県の難波副知事は川上流部の山林開発との関係が「正直に言ってあると思う」と発言。専門家からも、宅地造成のために森林が伐採され盛土がなされた場所に大雨が降ったためとの見方が示されている。仮にそうだとすると、今回のような被害が熱海市だけに限定されると考えるのは楽観的だ。図表➀には2010年~2019年の日本国内の水害被害額の推移を示した。2018年、2019年は大型台風被害で突出した金額となっているが、その期間を除いてもジリジリと増加している。

先週末は九州南部を記録的な豪雨が襲い、秋田では観測史上最大の雨量を記録した。九州南部では「数十年に一度の大雨」とされる大雨特別警報が発表されたが、国内では2017年、2018年、2020年にも同警報が発表されている。「数十年に一度の大雨」が、ほぼ毎年発生しているということだ。

日本の自然災害被害額は世界の約15%を占める

先週末に関東地方を激しいゲリラ豪雨が襲ったが、図表②に示した1時間降水量80mm以上の年間発生件数も増加傾向にある。この降水量は、恐怖を感じる程の猛烈な雨という定義だ。道路や排水設備などインフラの被害も大きくなっていることが推測される。

こういった「数十年に一度の大雨」や「ゲリラ豪雨」の増加は、地球温暖化も影響しているようだ。そして大雨の発生回数はさらに増加するとの研究もある。日本を含め世界の主要国は温暖化ガスの排出削減に努めているが、その効果が表れるはまだまだ先のことだろう。大雨・豪雨は、多くの人にとって、すぐ傍にあるリスクといえる。

そして日本の国土面積は全世界の0.25%に過ぎないが、自然災害の被害額(1970年~2004年)は15.4%も占める。日本は自然災害大国と言えるが、今後、より深刻な状況に直面する可能性が高い。

「ウェザーテック」市場の成長に期待

日本政府は2020年12月に「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を閣議決定した。そこでは、2021年度~2025年度の5年間で15兆円程度の事業規模の予算が盛り込まれている。従来の公共事業分野に加え、災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化などデジタル分野でも波及効果は大きそうだ。

他方、ゲリラ豪雨の増加などは、いわゆる「ウェザーテック」の必要性を高めている。局地的な豪雨などは人々の生活のみならず、企業活動にも影響を及ぼすためだ。実際に、よりキメ細かい天気予報サービスの提供も増えているが、国内の気象ビジネス市場は300億円程度から18兆円程度まで成長余地があるとの試算もある。日本経済の潜在成長率などと比較して、まさにケタ違いの潜在市場と言えるだろう。

最後に自然災害が増加することによる、財政への影響にも注意が必要だ。今年も既に豪雨被害は大きなものとなっているが、こういった状況が常態化するのならば、インフラの復旧や被災地支援などの財政負担も大きなものになる。IMFによると2020年の日本の公的債務残高(対名目GDP比)は256.2%と非常に高水準だ。また、基礎的財政収支も赤字が続いており、財政再建への道のりは険しい。そこに自然災害による財政への負担が増すのならば、必要な政策とはいえ日本はより厳しい状況に直面することになる。そのため民間資本の活用は不可避といえ、それは前述した「ウェザーテック」分野の成長を後押しするとみる。他方、日本の財政問題は、為替相場では円安要因になる可能性があるため一定の注意を払っておきたい。

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岡三証券株式会社
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(2021年8月30日改定)

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