岡三投資マンスリー(日本株式)

04/30(金)18:00

日本株式

  • 日本株相場は上値の重い展開を想定、東京五輪の開催問題などがくすぶる
  • 3月期決算企業の本決算発表が本格化、事前の高い期待値を超えられるか注目
  • フードテックやスマート農業関連企業、新常態に対応した設備投資関連企業などに注目

海外株と比較して上値の重い展開に

5月の日本株相場は、上値の重い展開を想定する。新型コロナの変異ウイルスが世界的に広がるなか、国内でも一部地域で緊急事態宣言が発令された。東京五輪の開催可否に対する懸念も強まっており、これらの不透明要因が海外株と比較した場合の日本株の相対的な上値の重さにつながりそうだ。

一方、新型コロナワクチンの普及に伴い、世界景気の回復期待は依然として高い。5月中旬にかけて発表が本格化する3月期決算企業の決算発表では製造業を中心に堅調な業績見通しが示されるとみられ、好業績銘柄への資金流入が下値を支えよう。日経平均は28,000円~30,500円水準での推移を想定する。

緊急事態宣言中の株価は落ち着いた動きに

4月の日経平均は節目の30,000円水準で上値を抑えられ、一進一退の展開となった。とりわけ、下旬にかけては新型コロナの感染者数が再び増加し、緊急事態宣言による景気の減速懸念が強まった。日本はワクチンの接種が遅れるなか、感染者数の増加に歯止めが掛からなければ、海外投資家の資金流出につながる可能性がある点に注意を払いたい。

一方、過去2度の緊急事態宣言中(1回目:2020年4月7日~5月25日、2回目:2021年1月13日~3月21日、一部地域での発令から全面解除まで)の期間を振り返ると、株価は底堅く推移していた。事前に警戒感を織り込んだことで、期間中は「悪材料出尽くし感」が意識されたとみられ、今回も同様の展開となりそうだ。他方、感染者数の動向次第では東京オリンピックの開催に不透明感が強まる可能性があり、相場全体の一時的な重しとなることも想定しておきたい。

決算発表に対する事前の「期待値」は高い

5月中旬にかけては、3月期決算企業の本決算の発表が本格化する。とりわけ、決算発表社数では14日がピークとなるため、個別企業の決算内容を見極めながら、「森よりも木を見る」展開が続きそうだ。

決算発表の序盤戦では、日本電産をはじめとする精密機器等の製造業企業が「事前の予想通り」の好決算を発表した。製造業各社については、21/3期業績実績が従来計画を上振れるほか、22/3期業績計画も増益計画を示す企業が増えるとみられる。

ただ、日本電産の22/3期計画は市場予想を下回るなど、事前予想の「ハードル」は高い。22/3期の好業績見通しを発表した企業においても、高い市場予想を下回ることによって株価が冴えない反応を示す可能性があろう。逆に、非製造業各社は厳しい業績見通しが示されたとしても、悪材料出尽くし感が意識される企業が出てきそうだ。

そのようななか、今後の業績動向を占ううえで、アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示すコンセンサスDIと連動性の高いグローバル製造業PMIの動向を注視したい。米3月ISM製造業景況指数は約37年ぶりの高水準となるなど、コロナ禍においても製造業の景況感は好調を維持している。そのため、今回発表される「保守的な」22/3期の業績計画を今後上振れるとの期待は残るとみており、株価の調整があったとしても、あくまで一時的な調整に留まるとみる。

株主還元策の動向などにも注目

業績計画と同時に発表される株主還元策の動向にも注目したい。21/3期は新型コロナによる業績の低迷に伴い、減配となる企業も見受けられた。ただ、22/3期は業績が改善に向かうなかで、増配や自社株買いを発表する企業が増えるだろう。企業の手元資金は依然として豊富であり、その還元策に対する関心も高まりそうだ。

日銀のETF買入れを巡り引き続き神経質に

需給面では、決算発表を受けて海外投資家の現物への資金流入が継続するかを注目したい。2021年以降、海外投資家は先物を約1兆6,000億円売り越す半面、現物をほぼ同額買い越している(4月第2週現在)。3月期決算企業の決算内容次第で個別株の選別色が強まる半面、好決算銘柄への資金流入は相場全体の下支え要因となろう。

一方、東京五輪の開催可否を巡って、海外投資家の動向が相場の波乱要因となる可能性もあろう。東京五輪の中止の可能性が高まる場合、ヘッジファンドなど短期筋を中心に、先物売りが膨らむとみられ、一時的な相場の下押しにつながりそうだ。

国内投資家については、売り越し基調が続くことになろう。新年度に入り一旦は売り越し額がピークアウトするとみられるが、日経平均株価が30,000円の大台近辺で高止まりするなか、上値では持ち高調整に伴う機械的な売りが継続することになりそうだ。

なお、日銀のETF買い入れに関しても不透明感がくすぶっている。相場全体が深押しする場面では一定の買い入れ実施が見込まれるものの、従来と比較すると買い入れ額は大きく減少するとみられ、しばらくは日銀の動向を巡って神経質となる相場展開が続きそうだ。

設備投資関連企業などに注目

物色面では、➀SDGsの観点から関心が高まるフードテックやスマート農業関連企業、②新常態に対応した設備投資関連企業などに注目したい。

➀では、食料問題がSDGsのターゲット2「飢餓をゼロに」で掲げられるなか、世界が直面する大きな課題となっている。「食」「農業」は世界の市場規模が巨大であり、関連企業のビジネスチャンスは大きいだろう。②では、EV関連投資など環境対策が中長期的に拡大することが見込まれ、幅広い分野にまたがる設備投資関連株に注目したい。(小川)

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