岡三投資マンスリー(外国為替)

04/01(月)15:50

外国為替

  • 景気不安は残ろう。他方で再度、世界は金融緩和的になってきた
  • 円高場面があっても一時的な動きに。ドル円相場は中長期的にはドル高円安へ
  • 新興国通貨はメキシコ・ペソに注目する

3月の為替相場は下旬にかけ不安定に

3月の為替市場は下旬にかけ不安定に。世界的に金融緩和色が強まったが、米国で長短金利が逆転したことが景気の先行き不透明感につながり、リスクオフの動きが生じた。ドル円相場は一時1ドル=109円台までドル安円高が進み、新興国通貨は調整。英国のEU離脱問題なども不安要因となった。

ただ、今のところ、ドル円相場はドル安円高方向に水準が大きく変わったわけではない。日本企業の積極的な海外M&Aなどの円安要因は、今後も残るだろう。また、3月を通してみれば、インド・ルピーやロシア・ルーブルが上昇するなど、通貨ごとに異なった動きとなった。

再度、世界は金融緩和的になってきた

今後の為替相場を考える上でのポイントは以下の通り。①FRBに加え、欧州中央銀行(ECB)も金融緩和的な姿勢になってきた。日銀は低金利政策を継続し、中国人民銀行は1月に預金準備率の引き下げを実施。再度、世界は金融緩和的になってきた。

②米国で長短金利が逆転したこともあり、当面、景気の先行き不安は残るとみる。ただ、米国経済は2018年よりは減速しつつも、拡大基調が続くだろう。中国当局の景気支援姿勢も、徐々に効果が表れよう。日本経済も消費増税や東京五輪前の特需が重なる時期に入っていくとみる。

③米中貿易交渉は、過度な楽観は禁物だが、米国の貿易赤字削減で大筋合意に向かうことをメインシナリオとする。ただ、知的財産権問題などは引き続き懸案事項となるだろう。英国のEU離脱問題は予断を許さない状況が続くとみるが、金融市場に対して一時的に圧力が強まっても、あくまでも欧州の問題にとどまるものとして考えておきたい。

米国の潜在成長率は回復へ

3月下旬に米国で長短金利(10年国債、TB3ヵ月)が逆転した場面では、景気の先行き不安から金融市場ではリスクオフ圧力が強まった。他方で米議会予算局によれば、2019年の米国の潜在成長率は2%以上への回復が見込まれている。足元では平均時給の伸びも加速している。米金利の低下は、タイムラグを経て米国経済を押し上げる可能性もあろう。

さらに中国当局は2兆元規模(約33兆円)の減税や社会保障負担の軽減など財政政策を打ち出した。中国人民銀行は年初に預金準備率の引き下げを実施し、固定資産投資などには底入れの兆しも出てきた。加えて今後、日本では特需が増加する期間に入ってこよう。

足元では各国の貿易の動きが鈍っており、しばらくは景気の先行き不安が残るだろう。欧州に関しては、景気底入れまで時間がかかりそうだ。ただ、低金利下で米国や中国、日本で景気上向きの動きが出てくれば、金融市場がリスクオンに傾くことも想定される。リスクには注意を払いながら、リスクオン方向の可能性についても意識しておきたい。

新興国通貨はメキシコ・ペソに注目する

目先、ドル円相場は横ばい圏での推移となろう。ただ、中長期的にはドル高円安が進むと考える。ユーロ相場は景気の鈍さが重しとなり、英ポンド相場は英国のEU離脱問題から不安定な動きとなろう。

新興国通貨ではメキシコ・ペソに注目する。政策動向には注意が必要だが、インフレ率が落ち着いてきていることは評価できよう。また、原油価格が強含んでいることはロシア・ルーブルの支援要因に。目先、上昇一服となっても、中長期的な上昇余地が残るとみる。インド・ルピーは潜在成長力の高さが強みとなるが、4-5月実施の総選挙の見極めが必要になるだろう。

他方、4月下旬から日本は10連休となるため、手仕舞い売りが増加するリスク、海外市場が波乱となるリスクなどには注意したい。(嶋野)

<米ドル>

  • 米金利は低下も、日米金利差は依然大きい。目先は横ばい圏で神経質な展開に
  • GW前後の動きには注意が必要。ただ、中長期的にはドル高円安余地が拡大へ

目先は神経質な展開となろう

目先のドル円相場は1ドル=108~113円程度のレンジで神経質な展開となろう。足元で米金利が低下したことはドル高抑制要因になる一方で、低金利がリスクオンの動きにつながれば円安圧力につながるとみる。ただ、目先は大幅にドル高円安が進むキッカケに乏しい状況だろう。

さらに米中貿易交渉や英国のEU離脱の行方、今後始まる予定の日米貿易協議の動向、加えて北朝鮮情勢などがリスクオフ要因として意識される可能性がある。不安が高まる場面では、一時的に想定レンジを超えるドル安円高となるリスクも警戒しておきたい。

他方、年初や3月下旬にドル安円高場面が生じたが、現状では円高方向へトレンドが変化した訳ではないとみる。米金利が想定よりも低下したため、1年後の見通しは1ドル=118円程度と若干円高方向に修正する。ただ、中長期的にはドル高円安余地が拡大するとの見通しに変化はない。

円高場面は外貨建て資産投資の好機に

足元の投機筋の円売りポジション(ネット)は約6万枚。年初からは増加したが、大きく積み上がっている状況ではない。ただ、日本では4月下旬から始まるGWが、今年は10連休となる。前述したリスクオフ要因が残るなか、日本の連休中に海外市場が波乱となる可能性は意識せざるを得ない。加えて、今年の日本の正月休暇中の円急進の記憶も新しいため、GW前に円売りポジションを解消する動きが出る可能性もある。それらは短期的な円高要因になるとみる。

ただ、年初の円高場面後の動きがそうであったように、一時的に円高になったとしても、その後は値を戻す展開が想定される。円高場面は外貨建て資産投資の好機として捉えたい。

低金利は米国経済の追い風に

3月のFOMCでは金融政策は据え置かれたほか、よりハト派姿勢を強める結果となった。FOMCメンバーによる政策金利見通しでみた2019年の利上げ回数はゼロ回程度と大幅に下方修正。さらにバランスシートの縮小に関しては、5月以降にペースを緩め、9月末で終了すると表明。これを受け米金利は大幅に低下し、足元では10年国債とTB3ヵ月の利回り逆転の動きが生じた。

ただ、2月の雇用統計では平均時給が前年比+3.4%に加速。1月の小売売上高は事前予想を上回る伸びとなり、3月のミシガン大学消費者マインド指数は前月から大きく上昇している。今後は、金利が低下したことも個人消費の追い風になるだろう。米中貿易戦争の影響などもあり輸出の動きは鈍っているが、米国経済は個人消費を中心に拡大基調が続くとみる。当面は米国の経済指標はまだら模様の状況となっても、景気の拡大基調が確認されるにつれドル高円安余地が拡大するだろう。

一方でトランプ大統領と米議会の関係が悪化しているため、財政議論などが混乱する場面が想定されることには注意が必要となろう。

足元景気は鈍いが、日本の景況感は改善へ

日本の1月の景気動向指数は前月からさらに低下し、基調判断は「下方への局面変化」に下方修正された。そのため、日本経済の景気後退局面入りが意識され始めている。実際に輸出の動きも鈍っており、しばらくは日本経済も弱い動きが目立つことになろう。

他方、日銀も足元で景気判断を下方修正しているが、それは低金利政策の継続につながるだろう。米金利は低下したが、日本の金利も足元で低下しており、日米金利差からのドル高円安圧力も残るとみる。さらに今後、日本では消費増税前や東京五輪前の特需が盛り上る時期に入ってくるとみる。日本の景況感が上向いていけば、リスクオンの流れでドル高円安余地が拡大すると考える。(嶋野)

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(2017年7月改定)

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