【業界図鑑】サービス業界 ~ 進歩が著しいネット広告

08/28(水)16:50

Googleであるワードで検索すると、それに関する広告がFacebookですぐに出てくることに気持ち悪さを感じる人は多いはずだ。しかし、仕事で使っている人は特に、GoogleもFacebookも使わざるを得なくなっている。プライバシー設定で検索や閲覧履歴を使われないようにすることは可能だが、デバイスやアプリごとに設定しなければならない。アカウントベースでデータが取られているため、ユーザーが完全にコントロールするのは不可能に近い。こうした検索連動型広告に加え、インターネット広告には様々なタイプが存在する。

1. インターネット利用時間は増加傾向

総務省の情報通信白書によれば、依然として全年代でテレビ(リアルタイム)視聴の平均利用時間は長く、行為者率も高い。しかし、ネット利用が追い上げている。特に平日の行為者率については、全世代平均でテレビ80.8%、ネット78.0%と、両者の数値が並びつつある。10代~20代の世代のテレビ離れが鮮明であり、視聴率を確保しなければならないテレビ局としては、ターゲットを高齢化せざるを得ないだろう。

<主なメディアの利用時間と行為者率>

出所:「平成30年版 情報通信白書」(総務省)

2. テレビCMからWebへ誘導する広告

また、若年層ほど「ながら視聴」をする傾向がある。10代~20代の世代は、ゴールデンタイムのテレビ視聴におけるネットのながら視聴の割合が40%超と高い。テレビCMから気になったものをWeb検索するという導線に注目した広告も増えている。
50代~60代の世代においても、スマートフォンを持つ人が増えており、PCの前に座らずにWeb検索する人がより一層増えていくと見られる。元々テレビ視聴時間が長いため、テレビからWebへ誘導するタイプの広告はポテンシャルが高いと言えるだろう。

3. 進化するネット広告

新聞、雑誌、ラジオ、テレビのマスコミ四媒体広告市場は縮小傾向にある中、ネット広告市場は成長している。日本のインターネット人口普及率には頭打ち感が出ているが、ポテンシャルは高い。理由は、様々なタイプの広告が存在するからである。20年前はバナー広告のような「枠売り型」しかなかった。2000年台には検索連動型広告、コンテンツ連動型広告 (Webサイト内容に連動) といった「運用型」が普及。2010年台に入ると、行動ターゲティング広告 (クッキーから個人的嗜好を分析) が当たり前のように使われている。「アドネットワーク」と呼ばれる、一つの広告を複数のWebサイトに配信するネットワークがベースとなっている。さらに広告枠が一元管理され、オープン市場で高速取引される「アドエクスチェンジ」が進化している。これにより、広告出稿者はフォーマットや課金を気にせず、効果的に広告を出すことが可能になるため、利用者も増えると見られる。

<ネット広告関連企業のマッピング>

出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. ネット広告関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(8/28)
注文画面
2389オプトホールディングネット広告専業代理店。業界第2位。不動産、金融分野を得意とする。電通との資本提携を解消。1,506
4293セプテーニ・ホールディングスネット広告代理大手。運用型広告でAIを導入。電通が19.3%出資。313
4751サイバーエージェントネット広告代理業から出発し、ゲームやネットテレビも展開。業界首位。4,680
4784GMOアドパートナーズネット広告代理業を柱とする。アドテク事業にも注力。405
6045レントラックスネット成果報酬型広告を展開。エステ、健康食品、不動産分野を得意とする。東南アジアやスリランカでの事業を強化。500

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

メルマガ「5 分でチェック!世界の経済指標の読み方」(毎週3回程度)配信中。

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