【業界図鑑】その他金融業界 ~ スマホ決済でクレジットカードに恩恵

04/10(水)18:30

4月9日、2024年度から新紙幣が流通することが正式発表された。500円硬貨は2021年度に刷新される予定である。しかし政府は、現金利用を減らし、キャッシュレス決済の割合を現状の20%から、将来的には80%にまで高めようとしている。金融テクノロージー「FinTech」が進む中国では、既にQRコードによるスマホ決済から顔認証決済の時代に入ろうとしている。

1. 紙幣需要は増加傾向

日本のキャッシュレス比率は、中国の60%や欧米の40%に遅れているとはいえ、徐々に高まってきた。主に少額決済においてだが、交通系ICカードなど電子マネーを使うことは浸透している。ところが、紙幣需要はむしろ増加しているのである。

そもそも貨幣とは何かということだが、経済学的には価値尺度、支払い手段、価値保蔵手段の3つの機能を持つものと定義されている。そのうち価値尺度や支払い手段については、物々交換の後、米や貨幣が使われるようになったが、もう電子の時代になりつつある。仮想通貨に価値保蔵手段の機能があるかどうかは、まだ実験中というところだろう。紙幣需要で特に一万円札が伸びているのは、現金への価値保蔵手段としての需要が依然として高いからではないだろうか。

<種類別現金流通残高>

出所:日銀「通貨流通高関連統計」を基にした日銀決済システムレポートのデータ

2. 政府の狙い

政府がキャッシュレスを推進する大きな理由として、実店舗での無人化省力化が挙げられる。人手不足時代においてレジの無人化はより進むだろう。消費者がストレスなく決済できるようなシステムが期待される。さらに政府としては、消費の活性化を促したい考えがある。

しかし重要な狙いは、不透明な現金資産の見える化である。これはマネーロンダリング防止や税収向上のためである。例えばインドでは地下経済の縮小を狙って1000ルピー札と500ルピー札の高額紙幣を廃止したが、混乱が続いているようだ。今回の新紙幣発表の会見で、一万円札を廃止するかどうかの質問に対して、財務大臣は、「流通枚数が一番大きい」と廃止する考えがないことを明らかにした。

3. クレジットカードへの恩恵

現在日本では、QRコードによるスマホ決済が増加している。店側にとって、クレジットカードは決済端末の導入などコストが高く、加盟しづらかったが、QRコードであれば敷居が低くなる。消費者にとっても手軽に決済ができて便利だ。

スマホ決済へのチャージの仕方は様々で、銀行口座からも可能だが抵抗がある人も多いだろう。デビットカードがそれほど普及しないことからも、日本人は銀行口座を価値保蔵手段と見ているところがあるのではないだろうか?したがって、クレジットカードからチャージする人が多くなるとみられる。

「楽天ペイ」にチャージできるクレジットカードは楽天カードしかないなど、限定されているものも多い。しかし、LINE Payは、1月にVisa連携のクレジットカードを導入すると発表した。今後もこの流れは加速すると見られる。

クレジットカード協会の統計によれば、2018年の信用供与額は66兆6,877億円で、前年比+14.2%だった。伸び率は2017年の8.2%から大きく上昇している。キャッシュレス時代でクレジットカードは不要になるどころか、むしろ利用が増えるのではないだろうか?

<クレジットカード関連3社の業績推移>

丸井グループ

クレディセゾン

オリエントコーポレーション

注:19/3期以降はコンセンサス
出所:岡三オンライン証券-企業分析ナビ

4. クレジットカード関連銘柄

コード 銘柄名 概要 終値
(4/10)
注文画面
8252丸井グループ自社カードによる割賦販売や手数料収入が柱。売上高比率は小売55%、フィンテック45%。2,222
8253クレディセゾン流通系カード首位。利用施設は西友、ヤマダ電機、高島屋など。みずほFGとの提携を解消。1,415
8570イオンフィナンシャルサービスイオン系銀行持株会社。タイ、マレーシアなど東南アジアで事業拡大。国内も割賦販売好調。2,228
8585オリエントコーポレーション国内信販最大手。オートローンに強い。カードショッピングも拡大。みずほグループ。伊藤忠商事と資本提携。113
8589アプラスフィナンシャルクレジットカード・信販準大手。新生銀行のリテール事業の中核。ローン強化中。カードは堅調。87
8584ジャックス信販大手。三菱UFJフィナンシャルが出資。輸入車オートローンが強い。クレジットカード事業拡大中。1,769

著者プロフィール

増井 麻里子(ますい まりこ)氏

株式会社Good Team 代表取締役社長

証券会社、ヘッジファンドを経て、米系格付会社・ムーディーズでは多業界に亘る大手事業会社の信用力分析、政府系金融・国際協力銀行(JBIC)では国際経済の調査を担当。

経済アナリストとして独立し、主に投資家向けのアドバイザリー業務を実施。

2017年6月、株式会社Good Teamの代表取締役社長に就任。

主な執筆・出演に週刊エコノミスト、国際金融、時事速報、Bloombergセミナー、日経CNBCなどがある。

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