トルコ経済・為替ガイドブック

トルコ経済・為替ガイドブック

目次

1.トルコの基本情報

国名 トルコ共和国
(Republic of Turkey)
面積 78.1万km²(日本の約2倍)
首都 アンカラ
人口 7,770万人(2014年)
言語 トルコ語
宗教 イスラム教が大部分を占める
その他、ギリシャ正教、アルメニア正教、ユダヤ教等
国土 トルコはアジアとヨーロッパをつなぐ交通の要衝に位置し、黒海および地中海ならびに両者を結ぶボスポラス海峡、マルマラ海及びダーダネルス海峡に面している。
日本との
つながり
トルコとの友好関係は、1890年の「エルトゥールル号遭難事件」を契機に生まれた。現在も、本邦企業は積極的に大型開発プロジェクトに参加しており、その中でも、2013年はボスポラス海峡を横断する地下鉄が開通した。

出所:外務省、(財)国際金融情報センター

2.トルコ経済3つのポイント

2-1.人口ボーナス期突入に伴う消費の拡大

トルコ:人口ボーナス期

出所:国連人口局のデータより岡三証券作成

トルコ人口ピラミッド(2013年)

出所:トルコ統計局

人口ボーナス期とは?
人口ボーナス期とは、働く世代(15歳以上65歳未満)2人当たりに対し、子供もしくは高齢者(15歳未満または65歳以上)が1人以下の人口構造にある時期のこと。
所得を教育・福祉以外にも当てやすく、消費拡大が起きやすい時期といわれている。

  • トルコは2009年以降、人口ボーナス期に突入
  • 平均年齢30.1歳と若い世代が充実しており、消費の爆発的な増大が期待される

2-2.欧州~中東・アジアをつなぐ要衝

  • トルコは歴史的に貿易・金融の中継地として機能してきた
  • 欧州、中東、中央アジア、ロシアといった巨大経済圏と隣接している
  • ロシアや中東から欧州へのエネルギー輸送(パイプライン)でも重要な役割を担うが、最近では対露関係の悪化や不安定な中東情勢が懸念される

2-3.加速するトルコへの海外直接投資

トルコ:対内直接投資額

出所:トルコ中央銀行

トルコ:業種別対内直接投資(2014年)

出所:トルコ中央銀行
※四捨五入の関係で合計は100%にはならない

  • 2006年に首相府直轄の「投資支援促進機構」を設置。進出企業に対するサービス窓口を一本化したことで投資が加速
  • 業種別では製造業や金融、運輸などへの投資が多い。最近ではインフラ関連への投資も増加。欧州からの投資案件が多い
  • ただし、国内外の治安悪化による投資減退の影響には要注意

3.景気低迷は長期化する可能性も

トルコ:消費者信頼感指数

出所:トルコ統計局、直近値は2016年1月分

トルコ:経常収支(対GDP比)(4期累計)

出所:トルコ統計機構、直近値は2015年7-9月期分

  • 2015年7-9月期の実質GDPは前年比+4.0%に加速。ただ、先行き不透明感は強いとみる
  • 直近2015年12月の消費者物価は前年比+8.81%と高止まりしている。当面は高インフレに加えて国内外の治安悪化が消費を抑制するとみる
  • 大幅な経常赤字は改善傾向にあったが、足元では改善に足踏み感も

4.政治リスクに注意が必要

レジェップ・タイイップ・エルドアン氏(61歳)
・2014年8月28日より大統領に就任
・政党:公正発展党(AKP)※大統領在任中は離党
・2003年~2014年8月まで前首相

トルコ議会:政党別議席数

2016年2月26日現在

  • 以前はエルドアン大統領の経済政策手腕が期待されていたが、近年ではイスラム色の強い政策などを実施。2013年には反政府運動も発生した
  • 2015年11月のやり直しの総選挙では、与党・公正発展党が勝利し過半数を獲得。過度な政治不安は後退したとみる
  • 一方、エルドアン大統領強権化への動きがみられることや、中銀に対する利下げ圧力を強めていることなどには要注意

5.地政学リスクの高まりはトルコ経済の重しに

トルコで最近発生したテロ事件等(過激派組織IS関連)

各種報道資料等より岡三証券作成

  • 2015年以降、過激派組織IS関連のテロ事件がトルコ国内で相次いでおり、2015年7月にはトルコ軍が本格的なIS掃討作戦に乗り出した
  • イランを巡る中東情勢の悪化も含め、内外で地政学リスクが高まることは景況感の悪化につながるおそれも。また、シリア難民の流入や軍事行動の活発化によって財政への負担も懸念される

6.金融政策と国債利回りの動向

トルコのインフレ率と政策金利

出所:トルコ統計局、トルコ中銀
直近値はインフレ率が2015年12月分、政策金利は2016年2月26日現在

トルコ国債利回りの推移

期間:2016年2月26日まで(日足)

  • リラ安の影響もあり、原油安が進んでいるにも関わらずインフレ率は加速している
  • 国内の政治不安に加え、地政学リスクの高まりから国債利回りは上昇傾向
  • トルコ中銀はインフレ抑制のため高金利政策を継続する姿勢を示している。一方で政府からの利下げ圧力も強まっており、「中銀の独立性」に対する懸念が再浮上している
  • 地政学リスク等が落ち着けば、潜在的な成長性を見込んだ資金流入も期待されよう

7.トルコ・リラ相場の見通し

短期見通し

  • 国内でのテロ事件や中東地域の情勢悪化など、目先は国内外の地政学リスクが不安材料となろう
  • インフレ率が高止まりするなか消費が抑制され、景気低迷は長期化する可能性が残ろう
  • 足元の不安定な金融市場のなかで、リラは安値圏での推移が続こう

中長期見通し

  • 市場が落ち着けば、トルコの潜在的な成長性を見込んだ資金流入が期待されよう
  • 一方で構造改革など課題は山積しており、中長期的な成長軌道に戻るには時間を要するとみる
  • 中長期的には対円で一定の底堅さも出ようが、上値の重さは拭えないとみる
トルコ・リラの対円相場

出所:トムソン・ロイター、直近は2016年2月26日時点

トルコ・リラの対ドル相場

出所:トムソン・ロイター、直近は2016年2月26日時点

岡三証券株式会社 グローバル金融調査部
2016年2月29日

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