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力也のFX道場

FXガチンコ対談(後編)

武部
野村さんの最大のピンチは?

野村
東京銀行でポンドをやっていたとき、大きくやられたときがあった。そのときは、電車に飛び込みたくなるくらいだったよ(笑)。ちょうどニューヨークから帰ってきたころで、そのころ、東京マーケットでもポンドは値動きが激しかった。1日に400ポイントくらい動いたかな。だから儲かるときは10万ドル、20万ドルの利益が出るけど、同じくらいやられるときもある。結局、そのときは徹夜して取り戻したけどね。 面白いのは、徹夜して夜中に電話するでしょ。そうすると、電話に出る相手はみんな負けている人なんだよ。勝っていたら徹夜なんかしないからね。それ以降、「俺はポンドには手をつけない」というのを家訓にしたよ(笑)。
武部
ポンドというのは思った方向と逆に動く、裏切りの通貨ですからね。
野村
ちょっと話は違うけど、そのころのイギリスの銀行は情けなかったなあ。たとえば、某銀行に「5本どうだ?」って聞くでしょ。そうすると相手は「ソーリー、2本しかダメ」とか言ってくるからね。それでもブリティッシュバンクなのか!って思うじゃない。だから「リアリィ、ブリティッシュ?」と言ってやると、相手はクールだから「イエス」とか答える。日本人が相手だったら、完全に喧嘩になるだろうけど(笑)。
武部
それは面白いですね。それにしても、為替はファンダメンタルズ通りに動かないところが難しいですね。
野村
なぜファンダメンタルズ通りに動かないかというと、為替は日常生活とかかわっているからだね。ファンダメンタルズがどうであろうと、明日ドルが必要な人はドルを買うでしょ。つまり、実需はファンダメンタルズとは関係なく動くから、予測が難しい。株式だったら、マーケット参加者が基本はその企業の株主になろうとする投資家が中心だけどね。(笑)
武部
ところで、野村さんのトレード手法はどんなものですか?
野村
トレード手法? 全部だよ(笑)。プロの世界でもチャートだけ分析している人で戦力になる人はいない。ファンダメンタルズは当てにならないけど、知っておかなければならない。チャートをいくら分析しても、大きなニュースが飛び込んでくれば、為替は動くからね。だから、ニュースをできるだけ早く入手できるような体制を整えておく必要がある。そして、ニュースを理解する知識も身につけておいたほうがいいだろうね。たとえば「預金準備率が~」というニュースが出たときに、その意味がわからなければ仕方ないでしょ。
武部
ある程度、勉強が必要ということですよね。
野村
あとは需給をウォッチしておく必要もある。たとえば、人気のファンドが設定されると、集まった資金を大量に外貨に替えて投資することもあるから、円安になる。チャートもローソク足、トレンドライン、移動平均線、一目均衡表、ボリンジャーバンドくらいは知っておいたほうがいいね。
武部
野村さんはよく使う注文方法とかありますか? OCOとか。
野村
買いたいと思ったときはその場で買うから指値はしたことないなあ。
武部
一番よく取引する通貨ペアははなんですか?
野村
ドル円。日本人なんだからニュースも理解しやすいよね。そもそもわれわれが見ているユーロやポンドのニュースはどうしても時間差がある。俺はいつもBBC(英国放送協会)を見ているけど、そこに出てから2日後くらいに、ディーラーが騒ぎ出しているくらいだからね。そもそも円は自分の国の通貨なのだから、ニュースも日本語で発信される。海外の人よりも早く入手できるメリットを生かすべきだね。
ユーロ・ポンドの通貨ペアなんてやっていると、カッコいいように思うかもしれないけど、プロでもそんな通貨ペアで儲かっている人はいないよ。「ポンドはよく動くから」という理由で選ぶ人がいるけど、それだったらドル・円で枚数を増やせばいい。楽しんでやるんだったら、好きな通貨ペアを選べばいいけど、儲けて家を建てたいと思うんだったらドル・円しかないよ。

武部
デイトレをする場合でもドル円ですか?
野村
デイトレでクロス円をやっている人はプロにはいないからね。たとえばポンド・円を持っていて、アメリカの失業率が発表されたときどう判断するの? わざと難解なことをする必要ないと思うけどな。
武部
気分転換はどうしていますか?
野村
為替自体が楽しいから気分転換は必要ないけど、普段はジムに行ったり、野球を見たりしているね。
武部
何かジンクスのようなものはありますか?
野村
やられたときには3人にだけ電話するようにしているよ。電話して「やられた」っていうと、「たまにはやられることもありますよ」とか言ってくれる。
武部
3人に電話して慰めてもらっているようなものですね。
野村
そんな感じだね(笑)。
武部
個人投資家がFXで勝つためにはどうしたらいいですか?
野村
そんなの根性だよ(笑)。「絶対、儲けよう」と執着するしかないんだよ。よく失敗するのは、ポジションを持つまではじっくり考えるのに、いざ持ってしまうと自分の判断に自信を持ってしまい、方向転換ができないケース。あまり自信を持って思い込んだらだめだね。状況に応じて臨機応変に対応できるようになれば、勝てるようになると思うよ。
武部
取引会社選びのポイントはありますか。
野村
ひとつ言えるのは、君みたいな人がいると、安心できるってことかな。つまり、ブローカーとかディーラーとか、為替の経験者がいるところであれば、何か問題が起こったときでも適切に対応してもらえるでしょ。為替の経験者がいない会社も結構あるけど、そういうところは心配だね。

武部
極論でいうと、手数料を払ってでも安心な会社がいいという投資家は増えていますね。
野村
手数料が安いのはもちろん大切だけど、それよりも信頼できるということのほうが重要だと思うよ。
武部
最後に個人投資家にメッセージをお願いします。
野村
少なくとも自分の投資している通貨の国のニュースは直接見るようにしたほうがいいと思うな。多少の英語力は必要になると思うけど、日本に入ってくるまで待っていたら、情報が遅くなってしまうからね。俺はニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの新聞社のサイトでニュースをチェックしているよ。
それにチャート分析で投資をしている人は多いと思うけど、チャートでやると決めたら、きちっとチャート通りにやるのが大切。チャートがシグナルを出しているのに「もうちょっと待てば戻るかも」なんて、勝手に解釈をするから、負けが大きくなってしまう。チャートのシグナル通りにやってみて、もしダメだったら数値(パラメータ)をいろいろ変えて再度試してみる。地道にそれを繰り返していけば、勝てるようになるはずだよ。
武部
野村さん、ありがとうございました。
著者プロフィール
野村 雅道(のむら まさみち)

FX湘南投資グループ代表 / 中京大学講師

1979年東京大学教養学部卒 東大野球部主将当時、江川投手(元巨人軍ピッチャー)等を相手に大活躍
1979年 東京銀行(現:三菱東京UFJ銀行)入行
1982年 ニューヨーク支店にて国際投資業務、外貨資金業務
1987年 米系銀行ディーラーへ転出、外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長
現在はテレビ、ラジオ、新聞で国際経済コメンテイターとして活躍中
著書『野村式「ID為替」―プロが教えるFX短期トレード超投資法』(講談社プラスアルファ新書)ほか多数。

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