オーストラリア経済・為替ガイドブック

オーストラリア経済・為替ガイドブック

目次

1.オーストラリアの基本情報

国名 オーストラリア
(Commonwealth of Australia)
面積 769万km²(日本の約20倍)
首都 キャンベラ
人口 2,313.1万人(2013年6月末)
言語 英語
宗教 キリスト教64%、無宗教19% 等
国土 世界で6番目に大きい国土を持つ。国土は海洋に面した潤いのある土地と、内陸部に広がる乾燥した土地に大別される。西部から中央部は広大な砂漠と石や砂だらけの大地が広がり、そこから東部にかけては高原と草原が横たわる
日本との
つながり
オーストラリアにとって日本は、中国に次いで2位の貿易相手国。在留邦人総数は約7.5万人で、米国、中国に次ぐ人数である

出所:外務省、(財)国際⾦融情報センター等

1-1.豊富な鉱物資源が経済を牽引

オーストラリアの品目別輸出構成比(2013年)

出所:豪州統計局(ABS)

オーストラリアの主要相手国別輸出額

出所:豪州統計局(ABS)

  • 一方で、鉱業部門への投資は2013年にピークアウトしたとみられる
  • 鉱業部門依存からの脱却を目指す
    ⇒新たな産業として観光や教育分野に注目
  • オーストラリアは先進国であると同時に、世界有数の資源国でもある稀有な存在
  • 輸出品目のうち約6割が鉱物・燃料である
  • 特に中国は鉱物資源の輸出先として存在感を増している
  • 2009年には中国が日本を上回りオーストラリアにとって最大の貿易相手国に

1-2.新たな産業として「観光」に注目!

オーストラリアの観光関連GDPと雇用者数の推移

出所:豪州統計局(ABS)

オーストラリアの外国人観光客数

出所:豪州政府

  • 2013年に鉱業部門への投資はピークアウト
    ⇒資源ブームに限界が見え始める
    ⇒そこで新たな産業として「観光」が注目される
  • 元々オーストラリアは観光資源が豊富
    ⇒外国人観光客数は年々増加
  • 観光関連GDPは全体の2.8%に過ぎないが、拡大中。成長余地は大きいといえよう
  • 関連産業での雇用拡大効果も大きい

1-3.移民の流入がオーストラリア経済を支える

人口増加率(前年比):日豪比較

出所:豪州統計局(ABS)、総務省

オーストラリアの企業・消費者マインド指数

出所:OECD International Imigration Outlook 2013、国立社会保障・人口問題研究所
※OECD加盟国とロシアを含む
※ロシア、メキシコ、チリは2010年

  • オーストラリアは先進国のなかでも有数の移民受け入れ大国
  • 移民の流入を背景に、オーストラリアは日本などと異なり人口が増加している
  • 移民流入による人口の増加で消費、労働が支えられているといっても過言ではない

1-4.今後はアジア新興国の需要を取り込む

アジアをはじめ様々な国・地域とFTAを結ぶ

  • オーストラリアは様々な国・地域とのFTA(自由貿易協定)締結に積極的
  • 成長著しいアジア新興国からの鉱物資源や食料品の需要増加が見込まれる
オーストラリアの主なFTA発効・交渉状況

出所:JETRO「2013年版ジェトロ世界貿易投資報告」より

  • AANZFTA:オーストラリア、ニュージーランドとASEAN諸国とのFTA (計12ヵ国)
  • 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定:ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、ペルー、米国、オーストラリア、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコ、日本。「P9」はカナダ、メキシコ、日本は除く。
  • 東アジア地域包括的経済連携:ASEAN諸国及び日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド

2.財政は卓抜した健全性、“AAA”格付けも魅力

オーストラリアの財政収支見通し(対名目GDP比)

出所:豪政府の予算案(2014年5月公表)より岡三証券作成

政府債務残高(対名目GDP比、2013年見通し)

出所:IMF World Economic Outlook 2013

  • 2008年のリーマン・ショック以降、財政赤字は拡大したが、足元では赤字の縮小基調続く
  • 財政黒字化は遅れ気味。アボット新政権は企業への補助金などの歳出を削減し、より早期の財政黒字化を目指す
  • 政府債務残高は先進国の中でも最も低いレベル
  • 財政の健全性に加えて、経常赤字も比較的低水準であることからAAA(トリプルエー)格付けを有している

3.アボット政権は緊縮予算を発表

  • アボット政権は5月、2014/15年度予算案を発表、増税などの厳しい緊縮財政を盛り込んだ
  • 政府への支持率は低下、消費減退も懸念されるが、健全財政は高格付け維持のため重要な要素
  • そのため一概にマイナス要因とは言えず、むしろ長期的には評価できる内容
2014/15年度予算案の主な政策
財政再建賦課金の導入
  • 一定所得以上の個人を対象に、3年間、所得税率を引き上げ
燃料物品税の引き上げ
  • 燃料にかかる物品税を、物価上昇に連動して引き上げ
年金支給開始年齢引き上げ
  • 年金の支給開始年齢を現状の65歳から、2035年までに70歳に引き上げ
診療料の自己負担導入
  • 公立病院において診療料の自己負担制度を導入
家族手当の削減
  • 家族手当の支給対象を、収入や子どもの年齢などに応じて厳格化
公務員削減
  • 公務員数を16年度までに16,500人削減

出所:(財)国際金融情報センターより作成

4.国内景気には底入れの兆しも

オーストラリアの住宅ローン承認件数

出所:豪州統計局(ABS)(直近値は2014年4月分)

オーストラリアの企業・消費者マインド指数

出所:National Australia Bank(NAB)、Westpac/Melbourne Institute
直近値は2014年6月分、企業信頼感は2014年5月分

  • 低金利政策の効果が住宅などの耐久消費財・金利敏感消費に表れ始めてきた
  • 足元では雇用が改善するなど企業マインド改善がハードデータ改善に ⇒国内景気回復の兆候
  • 一方、足元では緊縮予算の発表が消費者マインドに悪影響も
  • オーストラリア準備銀行(中央銀行)は当面は景気下支えのために低金利政策を継続する見通し

5.国債利回りは低位で推移しよう

オーストラリアの消費者物価と政策金利

出所:豪統計局、豪準備銀行
直近値はCPIが2014年1‐3月期分、政策金利が2014年7月1日時点

オーストラリア国債利回りの推移

期間:2014年6月30日まで(日足)

  • AAA格付けを維持していることで、オーストラリア国債には安定的に資金が流入しよう
  • 国内景気の底入れ、インフレ率の回復により利下げの可能性はほぼ払拭
  • ただ、豪中銀は鉱山投資減少や緊縮予算の影響を考慮し、当面低金利政策を継続する見込み
  • 足元で国債利回りは低下。今後利回りは低位で推移する見通し

岡三証券株式会社 グローバル金融調査部
2014年7月1日

ページトップへ