- 小幡
- 日本では長期保有は偉くて、デイ・トレーダーは人でなしというのが世間一般の見方。いつから、取引より保有が偉くなったのでしょうか。非常に不思議です。
- 池田
- 確かに、株式投資では長く持つことが必ずしもいいとは限りません。「風に身を任せる柳の木は折れない」というのが私の上司の口癖でした。
風の動きを読んで、風に合わせて動いていけば相場にやられないという意味だと理解しています。
社長対談
第一回 小幡 績氏

このたび、岡三オンライン証券 取締役社長池田嘉宏がホスト役を務め、ネット株取引に関する対談を実施した。ゲストは行動ファイナンス理論の研究に加え、自身も個人投資家として積極的に投資し続ける慶應義塾大学大学院経営管理科助教授の小幡績氏。「長期保有はもっともリスクが高い投資戦略」「ファンダメンタルズ※1とテクニカル※2はどちらが有効か」など、2人で熱いトークを繰り広げた。
- ※1経済活動の状況を示す基礎的な要因のこと。ここでは投資対象とする個別企業の投資価値をいう。
- ※2株価やチャートを利用した分析方法をいう。
デイトレなら全力投球するときだけリスクを取ればいい
- 池田
- 小幡先生は、長期保有はリスクの高い投資戦略であって、タイミングを含めた売り方を考えることが重要だとおっしゃっていますね。

- 小幡
- いい言葉ですね。風を感じるというのは投資の上で最も重要なことです。株式投資を始めたばかりの人には難しいかもしれませんが、ある程度の経験をつんでいけば、相場の雰囲気は分かるようになると思います。
例えば、「GDP〔国内総生産〕が良くて朝方は〔株価が〕上がったのに、引けでは下げに転じている。 (相場は)弱いみたいだぞ」とかね。

- 池田
- 風の動きがつかめるようになってくるわけですね。
- 小幡
- 分からない場合は、自分がポジションを取っていて欲目で見ているときでしょう。危ないな、と感じても「上がると信じたい」という気持ちが邪魔をして見えなくなってくる〔苦笑〕。冷静に見ていればわかると思いますよ。
- 池田
- 人々が行動を決める際に想定する期間を「タイムホライズン」といいますが、先生は投資のタイムホライズンを短くすればするほど、小さい負けで逃げることができると言っていますね。それは感覚が研ぎ澄まされるからですか?
- 小幡
- デイ・トレードがいいのは、自分が全力投球しているときだけリスクを取ればいいことです。ところが、長期投資は常にリスクを負っている状態です。
運用のプロならそれでもいいですが、われわれ個人投資家は安心して仕事もできないし、夜もおちおち眠れない。しかも、仕事の合間に保有銘柄の株価をチェックしたら、突然株価が暴落していてびっくりすることもありますからね。
ファンダメンタルズとチャートは局面に応じて使い分ける

- 池田
- ところで、私はファンダメンタルズを分析するアナリスト時代には株価のほうが間違っていると思ったこともありました。
ところが、クオンツ(高度な数学的技術を使って株価を分析すること)やテクニカルなどの分析に携わったときには「チャートが正しい」と思えてきたのです。正直、どちらが正しいか迷っていた時期もあります。 - 小幡
- 今はどうお考えですか?
- 池田
- 例えば、機関投資家がファンダメンタルズを重視する時期は、そうした要因で株が上がりやすいですし、コンセンサスも取りやすい。
ところが、株の需給関係で株価が動くときには、その動きから投資タイミングを図るべきだと思いますね。 - 小幡
- まったく同感です。私が「今はファンダメンタルズ重視で投資をしています」などと言うと、「前と言っていること違うじゃないか!」とよく怒られます。
しかし、大事なのはファンダメンタルズとテクニカルのどちらが正しいかではなく、「投資家の心理を分析して、投資家がどういう行動を取るかを予測すること」です。
- 池田
- 大勢がどちらを重視して株を買っているか、売っているかという判断が重要になってくるわけですね。
- 小幡
- 例えば、機関投資家が買いに回ってきて、経済も良さそうで、GDPや機械受注がいいと思うなら、機関投資家に好まれる日本を代表するような銘柄を買えばいいでしょう。
ところが、機関投資家が負けていて、日本経済も下向き、デイ・トレーダーだけが積極的に取引しているような局面では彼らが取引しそうな銘柄を買ったほうがいい。チャートを見ることも必要だし、材料としてわかりやすい“はやされそうな”銘柄を買いたいですね。

- 池田
- ファンダメンタルズとチャートは局面に応じてスタイルを使い分ける必要があるということですね。
- 小幡
- 背景にある投資家の行動や、その要因を探ることが重要です。「相場の局面で誰が主導権を握っているか」によって、ファンダメンタルズ重視のときもあれば、チャート重視のときもあります。本質は、その裏側にある投資家の心理と投資行動を予測することだと思います。
- 池田
- そうですね。当社も対面の証券会社から誕生したオンライン証券として、この2つのものの見方をサポートできる環境を用意する予定です。
- 小幡
- それは面白いですね。私も興味があるのでぜひ出来上がったら見せてください。
株式投資にも国際分散投資が有効
- 池田
- さて、2006年を振り返ってみると、日本の新興市場の株価は大きく値下がりし、多くの個人投資家がダメージを負った1年だったと思います。一方、海外にも分散して株式投資を行っていた投資家にとっては、大きく利益を上げられた年だったと聞きます。その代表的な例が中国株でしょう。
- 小幡
- 確かに、06年は中国株の主要指数が過去最高を更新しましたね。私のような個人投資家にとっても中国株の魅力を見せつけられましたよ。
- 池田
- ただ、03年のブーム以降、中国株の話は投資情報誌などでもほとんど取り上げられていないのです。日本の投資家にとって中国株は忘れられた存在なのかもしれません(笑)。

- 小幡
- 勢いのあるマーケットに投資するのは投資の王道といえますからね。もったいない気がします。
- 池田
- そういった理由もあり、岡三オンライン証券はまず中国株に注目しました。岡三証券グループのリソースが有効活用できるのも特徴です。成長力のある市場への国際分散投資から提供し、主軸となる日本株はタイミングを見て早期に取り扱いを始める予定です。
オンライン証券の差別化は投資サポートツールへ
- 小幡
- でも中国株というと難しいと感じる人も多いはずです。外国株に投資したいのだが、どうせなら投資信託でなく、個別株に投資したい。でも、個別株は情報も少なくて、怖い、という声を良く聞きます。御社では投資家向けにはどんなサポートを考えているのですか?

- 池田
- 当社では、そのような声に応えるために、中国株投資ツールとして日本初の情報ベンダー「AASTOCKS」社を採用しました。これにより、いままで中国株の投資情報に不足していた様々な情報が入手可能になりました。
例えば、「チャート分析」には株価を自動的に診断する機能も用意しています。チャートから見た売買タイミングが到来している銘柄を日々ピックアップするので、テクニカルは難しいと思う方にも参考になるでしょう。当社が取り扱う銘柄は1000以上ありますが、その中から自動的に抽出するという分析手法は画期的とも言えるでしょう。
- 小幡
- それは面白い試みですね。
- 池田
- また、全ての銘柄を対象として今後5日間の株価予測を行うという、これまでにないユニークな情報も提供しています。株価の過去の動き(500日)をコンピューターに学習させ、将来の動きを占うというものです。いってみれば株価の天気予報的なものですが、チャート分析とあわせて参考にしていただけると思いますよ。

- 小幡
- 自分が選択した銘柄の買いタイミングを判断する上でも参考になりそうですね。日本株でも提供するのですか。
- 池田
- そうですね。日本株ではもう一歩進めようと準備しています。日本株の営業開始にあわせて「アルゴトレード」というツールを開発中ですが、これは先ほどのテクニカルによる売買タイミングと株価の変動要因を判りやすくお知らせするものです。
ファンダメンタルズとテクニカルの両面から、投資家の皆様のお手伝いが出来ればうれしいですね。
- 小幡
- 既存の証券会社にない新しい試みですね。私もそういったものには大変興味があります。今日は一人の個人投資家としても楽しみがひとつ増えました(笑)。
- 池田
- 先生の期待に応えられるものを早くお披露目したいですね。
ところで、先生は「投資の行動心理」を分析し、それを著書としても出版されていますね。チャート分析の背景にある投資家心理の描写は、私も大変共感を持って読ませていただきました。出来れば多くの投資家にそうした考え方も知っていただくため、我々のWebサイト上で先生の理論のいくつかをご披露してもらえませんか? - 小幡
- わかりました。私が日々の自分の投資の中で得た洞察を理論的+な体系を踏まえてお話できたらいいですね。
- 池田
- それでは次回の企画でよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
免責事項
- 本コンテンツの内容は、岡三オンライン証券としての見解を提供するものではなく、あくまでも対談者個人の考えを表明したものです。また、その正確性、完全性および適時性について何ら保証するものではなく、個別銘柄の売買を勧誘又は推奨するものでもありません。
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- 投資に関する最終決定は、契約締結前交付書面等およびWebサイト上の説明事項等をよくお読みいただき、取引の仕組・リスク・手数料等諸費用をご理解のうえ、ご自身の判断と責任で行ってください。





















